研究課題/領域番号 |
15K09319
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
笠井 高士 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70516062)
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研究分担者 |
水野 敏樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30264782)
大島 洋一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50516060)
徳田 隆彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80242692)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 脂質 / α-synuclein / パーキンソン病 |
研究実績の概要 |
Parkison病(PD)において細胞外に分泌されるα-syuclein(αsyn)はPD病理の進展過程を仲介する存在であり、そのクリアランスの促進はPDの根本治療に新しいアプローチとなり得る。申請者は新たな存在様式として脂質代謝系、特にリポ蛋白と共益した代謝経路の存在を仮定し、同経路を通して中枢神経由来αsynuは体循環系、すなわち血漿中へ自由に排出されるという新しい仮説を提唱し、その存在を検証するために本研究を企画した。 既に2015年度の段階で既にゲル濾過分画したVLDL,LDL,HDL画分にαsynが存在していることを証明した。また超遠心法によって分取した脂質画分においても同様にαsynを同定していた。2016年度はより簡便に脂質結合型αsynを抽出・検証する手法として、脂質吸着カラムを用いて血漿から脂質を分取し、脂質画分からαsynを検証する方法を開発した。この手法を応用することによって同画分から安定的に脂質関連αsynを分取することが可能になった。こうした研究を通して脂質分子関連α-synは主としてHDL領域に多く存在しており、Western blotでもApoA1 ApoE ApoJなどが検出される領域に認められることを明らかにした。現在、これらのリポ蛋白抗体による免疫沈降法を通してαsynucleinと脂質分子の共存を検証する予定である。 さらにこうした脂質関連αsynは既存ELISAでは殆ど検出されないことを明らかにした。おそらくELISA法での検出の困難さはepitopeの脂質分子中への埋没によると想定されるので2017年度はこうした存在様式の究明も行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2016年度に予定していたαsynucleinの存在様式の同定は予定通り進捗している、既存のELISA法で検出できない可能性についても当初予想されていたことなので、2017年度は引き続きそのメカニズムを検証する。 一方で安定同位体を用いた脂質分子の体内動態測定系の検証は遅れている。担当者の人事異動が主たる原因である。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度は脂質分子関連α-synの存在様式とそのメカニズムを引き続き検証する。 一方で安定同位体を用いた脂質分子の体内動態測定系の開発については退職した担当者の業務を主任研究者が引き継ぐ形で後れを取り戻すようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の遅れが生じたため、必要な研究消耗品の購入を次年度に遅らせた
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については安定同位体による脂質関連αsyn動態解析に関する消耗品を2017年度に購入することに用いる
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