研究課題/領域番号 |
15K09321
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
辻村 敦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50236890)
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研究分担者 |
渡邊 義久 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50363990)
田口 勝敏 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60462701)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | αシヌクレイン / リソソーム / カテプシン / フィブリル |
研究実績の概要 |
パーキンソン病の病理学的特徴であるレビー小体を構成するαシヌクレイン(αSyn)は、オリゴマーやフィブリルを形成し細胞毒性を発揮すると考えられている。またαSynの重合体はのあるものはそれ自身が核となり可溶性のαSynを病的αSynへと変化させ、細胞間を伝播することが示唆されている。細胞内に取り込まれた凝集αSynは、シードとして機能するためにリソソームでカテプシンにより分解を受けることが必要であることを報告しているが、本研究の一つ目の目標は、シード活性化に必要な切断αSynの切断部位を特定することである。試験管内で作製したαSynを電気泳動で分子量分画し転写膜上でのαSyn凝集能を可視化する系を確立した。転写膜上のαSyn凝集能は比較的大きな分子種に限定されていることが判明し、現在シード活性持ったさらに低分子量画分を生じる方法を検討している。 αSyn凝集体のシード活性化はリソソームで行われ、その後凝集体は成長してリソソームを障害していると考えられる。障害を受けたリソソームはオートファジー(リソファジー)によって隔離されオートリソソームで分解され再生されるが、障害リソソームの内部には成長したαSyn凝集体が含まれておりリソファジーでの再生過程で再度カテプシンによるシード活性化を受け新たな凝集の形成が起こるという”障害の連鎖”が起こっていると考えられる。培養細胞を用いたαSynシード活性アッセイ系にリソソーム障害試薬を加えると細胞内αSyn凝集体形成量が2倍程度に増加することが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
αSyn凝集体をネイティブ電気泳動で分画し転写メンブレン上で凝集シード活性を調べるアッセイ系を確立し、シード活性が比較的高分子量に存在することを確認することが出来た。カテプシンの分解でもシード活性は比較的高分子に活性が存在していることが観察され、より小さな分子種を生じる酵素の検討も行っている。またリソソーム障害による細胞内凝集体形成が増加する現象も定量的に再現できている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の実験計画通りαSyn凝集活性を阻害するペプチド配列を選定し、αSyn凝集形成や細胞障害を回避する実験系の構築を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた設備備品の超音波破砕器を用いずに試料を調整するプロトコルを用いることに変更したため、使用額が少なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
予定していたカテプシンBによるαシヌクレインの切断部位の解析に加えて、他の酵素による切断部位の解析を行いより詳細な解析を行うことを予定している。使用する酵素、アミノ酸配列解の費用に使用する予定である。
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