研究課題
我々は、上記ALS原因RNA結合蛋白における4つの共通性を持つALS病態誘導人工cDNA(図5)を合成し、哺乳類発現ベクターにサブクローニングした. cDNA作成に当たり以下の条件によりアミノ酸配列を設計した. 1) G/S-Y-G/Sの67リピートをコードするcDNA(SYG-NES-GFP)を塩基の繰り返し配列を極力避けた. また、G/S-Y-G/Sのリピートに加えもう一つの特徴であるglutamine (Q)に富む cDNA(SYGQ-NES-GFP)(50リピート)も合成した(6). 2) RNA結合部位は、特異的なRNA結合を極力減らすため、植物Citrus sinensis cultivar Pera poly(A)-binding protein 1由来RNA recognition motifをもちいた. 3) Nuclear exit signalを配置し、細胞質への局在を誘導した. 4) タグとしてGFPをC末端に配置した. 本ALS病態誘導人工遺伝子を培養細胞に導入してその細胞学的特徴を解析し以下の研究結果を得た. 1) ALS病態誘導人工遺伝子は細胞質封入体を形成する. 2) ALS病態誘導人工遺伝子はストレス顆粒の構成分子となる. 3) ALS病態誘導人工遺伝子による神経系細胞Neuro2a細胞の突起伸展作用の抑制と細胞死誘導. 4)ALS病態誘導人工遺伝子の凝集性. 5) PrLDを含む人工RNA結合タンパク質の発現後によるGEMの減少人工遺伝子を培養細胞に導入することによって、細胞質に封入体形成、ストレス顆粒への移行、細胞毒性、凝集、GEM減少を備えておりALS関連分子の生化学的、細胞学的特性を再現できたと考えられる. 今後は、ALS病態誘導人工遺伝子モデル動物の確立を目指す.
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