研究課題
ヘパリン親和性増殖因子群の一つである肝細胞増殖因子(HGF)は、神経変性疾患の治療標的の一つとして期待されるが、臨床応用実現化に向けては解決すべき問題が多い。本研究は、細胞外マトリックスのヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)を治療標的とし、HGF活性局在と他のヘパリン親和性増殖因子との“シグナルクロストーク”の最適化による成体神経新生制御方法開発を目指す。そのため、本研究期間内に、多因子が相補的/競合的に働くシグナルの“クロストークの場”の可視化と各因子の下流シグナルの特性・可変性を調査する。平成27年度には透明化技術を用いて、分子局在の可視化を可能にした。神経疾患治療の標的の一つに成体神経新生があるが、これを制御するFGF2を代表とするヘパリン親和性増殖因子/ヘパラン硫酸鎖の調整には糖鎖の改変が重要と考えた。平成28年度は成体神経新生能と硫酸化など糖鎖修飾の関連性を示し、成果を学会報告及び、論文に投稿した。成体神経新生領域である脳室下帯と海馬のサンプルを使って2糖解析を進め、硫酸化など糖鎖就職の特性を検討している。
2: おおむね順調に進展している
ヘパリン親和性増殖因子群による成体神経新生シグナルについて、糖鎖修飾にも着目し一定の成果を上げた。独創性のあるデータとして論文投稿し、査読中である。
現在、マウス成体神経新生領域の探索(in vivo)とneurosphere を使ったin vitroの検証を行っている。さらに、その中間的手段として脱細胞組織へのneurosphere の移植実験を進めている。最終年度中の論文発表を目指している。
マウスを使った実験の条件設定に遅れが生じた。脱細胞化は新たな試みであり、最適な条件の決定に時間を要した。neuroshereを用いた実験は概ね順調である。
neuroshere 培養から得られた成果を脱細胞脳を使った実験に反映していく。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件)
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