研究課題/領域番号 |
15K09329
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
松山 知弘 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10219529)
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研究分担者 |
藤盛 好啓 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20229058)
中込 隆之 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (80434950)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ペリサイト / 血液脳関門 / 細胞治療 / 脳梗塞 |
研究実績の概要 |
脳血管障害後の神経機能回復を目的として、種々の幹細胞を用いた再生医療的手法が注目されている。我々は脳梗塞の細胞治療に有効な細胞分画の候補として、Neurovascular unitを構成する血管周皮細胞(ペリサイト)に分化しうる前駆細胞分画が骨髄細胞内にあることを見いだした。本研究ではこの分画より骨髄由来血管周皮前駆細胞を同定解析し、脳梗塞の細胞治療に応用することを目的とする。 ペリサイト前駆細胞の特性解析および機能解析 (in vitro) 脳梗塞マウスの骨髄細胞を神経幹細胞の調整法(特許第4905719号)に準拠して2%FBS/FGF/EGFを含むDMEM培地で培養することで幹細胞特有のSpheroidを得た。このSpheroidは接着培養でCD31陽性血管内皮細胞あるいはPDGFRb陽性ペリサイトに分化することがわかった。この細胞をFACS解析すると、CD45陽性/CD44陽性/CD105陰性/PDGFRb陰性の造血細胞の一分画であり、コロニーアッセイ培地(MethoCult)で培養するとコロニー形成し血球細胞に分化した。脳梗塞後マウス骨髄中からCD45陽性/CD44陽性/CD105陰性細胞をFACS sortingしMatrigel培地で分化させると、Tube formationを示し、CD31陽性血管内皮細胞あるいはPDGFRb陽性のペリサイトになることが分かった。本細胞は脳梗塞を起こしていない正常マウス骨髄には極めて少量しか同定できないが、脳梗塞後の骨髄からは容易に得られることを見出している。以上のことより、本研究の主目的である骨髄中の血管周皮細胞前駆細胞分画はほぼ同定できたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ペリサイト前駆細胞の分化能解析 (in vitro, in vivo) 骨髄細胞からin vitroで血管内皮細胞と血管周皮細胞に分化する新たな造血細胞分画を見出したので、GFP標識(GFP-Tgマウス由来)されたペリサイト前駆細胞を脳梗塞マウスに移植し、生体脳内トレーシング解析を進めている。 細胞投与の神経機能改善効果判定 本年度中に兵庫医療大学との共同研究で、脳梗塞細胞治療のための非臨床試験を実施できる体制を立ち上げたので、当該細胞投与の神経機能に及ぼす影響を行動学的に解析する準備が整っている。
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今後の研究の推進方策 |
同定されたペリサイト前駆細胞を投与し、脳梗塞後のNeurovascular unitに及ぼす影響(機能維持、神経保護、幹細胞ニッチとしての役割など)を検討し、脳卒中の細胞移植治療の有効性を高める細胞分画であることを証明する。さらに、ヒト骨髄ペリサイト前駆細胞を同定し、臨床試験に繋げる。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスの行動テストの実施体制を整えるため、兵庫医療大学との共同研究が必要となり、準備に時間がかかった。行動テストに使用するマウスは一回のテストで30匹が必要であるが、本年度には使用しなかったため、その分が次年度使用額となった。
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次年度使用額の使用計画 |
行動テストのための動物費用として、計20万円(1匹5,000円x30匹と細胞培養諸費用)を次年度に使用する予定である。
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