研究課題
脳血管障害後の神経機能回復を目的として、種々の幹細胞を用いた再生医療的手法が注目されている。我々は脳梗塞の細胞治療に有効な細胞分画の候補として、Neurovascular unitを構成する血管周皮細胞(ペリサイト)に分化しうる前駆細胞分画が骨髄細胞内にあることを見いだした。本研究ではこの分画より骨髄由来血管周皮前駆細胞を同定解析し、脳梗塞の細胞治療に応用することを目的とする。ペリサイト前駆細胞の特性解析および機能解析 (in vitro)脳梗塞マウスの骨髄細胞を2%FBS/FGF/EGFを含むDMEM培地で培養することで細胞を得た。この細胞をFACS解析すると、CD45陽性/CD44陽性~陰性/CD105陰性/ VEGFRbeta陰性の細胞でありFlk1陽性の造血幹細胞の特性を持つ細胞集団であることがわかった。しかし、その後の検討で、CD45陽性分画はさらにCD45high/CD44(+)とCD45low/CD44(-)分画に区別できることが判明した。この両分画をコロニーアッセイ培地(MethoCult) で培養するとコロニー形成を示して血球細胞に分化し、Matrigel培地で分化させると、ともにCapirally formation (管腔形成)してCD31陽性血管内皮細胞あるいはPDGFRbeta陽性のペリサイトになるが、より血管に近いTube formationを示すのはCD45low/CD44(-)分画の方であった。以上のことより、本研究の主目的である骨髄中の血管周皮細胞前駆細胞としては、CD45陽性細胞であるが、CD45low/CD44(-)分画はより未熟な血管内皮細胞にもなるHemangioblast様の分画である可能性も出てきた。今後この細胞の特性を解析することで、脳梗塞の血管再生を目指した細胞治療につなげていくことが重要と思われた。
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