研究課題/領域番号 |
15K09336
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
関島 良樹 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (60322715)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アミロイドーシス / トランスサイレチン / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
H27年度は,まず研究の倫理申請を行った後,血液バイオマーカーの解析に必要な検体の採取を精力的に行った.その結果,合計で114名(遺伝性ATTRアミロイドーシス患者78名,遺伝性ATTRアミロイドーシス未発症者13名,野生型ATTRアミロイドーシス患者8名,正常対照15名)から検体を得た.更に,遺伝性ATTRアミロイドーシス患者の中には,肝移植を受けた患者が10名,TTR四量体安定化薬(diflunisalまたはtafamidis)による治療介入を受けた患者が45名,治療介入のない患者が23名含まれており,治療介入による影響も検討可能サンプルが収集された.同様に,野生型ATTRアミロイドーシス患者の中には,TTR四量体安定化薬(diflunisal)による治療介入を受けた患者が5名,治療介入のない患者が3名含まれていた.H28年度以降,これらのサンプルを用いてTTR凝集体の解析およびマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析を多数例で行う事により,発症予測,早期診断,治療効果判定に利用可能なバイオマーカーが見いだされることが期待される. TTR凝集体の解析の解析に関しては,少数のサンプルを用いて様々な条件下でのELISA実験を行い,安定した測定系を確立することに成功した. 更に,非侵襲的なバイオマーカーとして,11C-Pittsburgh compound B (PIB)を用いたPETの有用性を検討し,①11C-PIB-PETはこれまで利用されていたアルツハイマー病のみならずATTRアミロイドーシスのアミロイド沈着の評価にも有用であること,②11C-PIB-PETは,脳のみならず,皮膚,耳下腺,顎下腺,涙腺,心臓などのATTRアミロイド沈着の評価に有用であることを見いだした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H27年度中に精力的に患者検体の採取を実施し,発症者,未発症保因者,正常対照,治療未介入患者,治療介入患者(肝移植,TTR四量体安定化薬)など様々な病期や状況の検体を十分に採取することができた.また,TTR凝集体のELAISAによる安定した測定系も確立したことから,H28年度以降に収集した検体の解析を行うことにより,発症予測,早期診断,治療効果判定に利用可能なバイオマーカーが見いだされることが期待される.また,非侵襲的なバイオマーカーとして11C-PIB-PETの有用性を示唆するデータも得られた.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,H27年度に採取したATTRアミロイドーシス患者の検体を用いてTTR凝集体のELAISA法による解析を行い,本解析がATTRアミロイドーシスの発症予測,早期診断,治療効果判定に有効であるか否かを検討する.また,マイクロアレイを用いた遺伝子発現解析を行い,血中TTR凝集体以外の血液バイオマーカーを検索する.更に,様々な病期のATTRアミロイドーシス患者に対して11C-PIB-PETを実施し,アミロイドPETのバイオマーカーとしての有用性を検討する方針である.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に行うELISA解析およびマイクロアレイ解析などの費用を見込んで繰り越したため次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
本年度多数例での検体採取が行えた.このため,来年度はこの検体を用いた解析に要する試薬などの購入,および結果解析に要するソフト購入などの費用が必要であり,次年度請求額と合わせて使用する.
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