研究課題
H29年度は,血中のミスフォールドしたTTRオリゴマーに特異的に結合するペプチドプローブを開発しH28年度までに採取した血液サンプルを用いて,解析を行った.その結果,健常者や遺伝子変異を有する未発症者に比べ遺伝性ATTRアミロイドーシス患者ではTTRオリゴマー濃度が高いこと,肝移植やTTR四量体安定化薬による治療でTTRオリゴマー濃度が低下することを示した.本プローブは本症の早期診断や治療の有効性評価に利用できる可能性がある.この結果は,国際誌(Sci Transl Med 9: eaam7621, 2017)に論文発表した.さらに,非侵襲的なバイオマーカーとして,11C-Pittsburgh compound B (PIB)を用いたPETのATTRアミロイドーシス診療における有用性を検討した.従来PIB-PETは,脳画像のみが撮影されていたが,我々は本年度,PIB-PETの全身撮影を試み,その有用性を明らかにした.具体的には, 7名の遺伝性ATTRアミロイドーシス患者,1名のTTR遺伝子変異保因者,7名のALアミロイドーシス患者に対して全身PIB-PETを実施し,臨床症状および組織生検所見との対比を行ったその結果,PIB-PETは脳に加え,心臓,胃などの上部消化管,脾臓,涙腺,唾液腺,甲状腺,リンパ節,皮膚,筋肉などのアミロイド沈着を鋭敏に検出することが可能であることが明らかになった.このうち,心臓,胃に関しては臓器障害との関連が良好であり,脾臓,涙腺,唾液腺,甲状腺,リンパ節,皮膚,筋肉に関しては,臨床的に無症状のアミロイド沈着も検出できることが明らかになった.この結果は,国際誌(Eur J Nucl Med Mol Imaging 45: 452-461, 2018)に論文発表した.
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 3件、 査読あり 8件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 6件、 招待講演 9件)
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