研究課題/領域番号 |
15K09346
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
三橋 里美 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所疾病研究第一部, 室長 (40466222)
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研究分担者 |
三橋 弘明 東海大学, 工学部, 講師 (20466220)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー / 遺伝子診断 / D4Z4リピート / 疾患発症修飾因子 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)患者のD4Z4のエピゲノム解析および、発症にかかわるバリアントの解析を中心に行った。次世代シークエンサーを用いたエクソーム解析はほぼ終了し、新規候補バリアントの検索をすぐに行える状況にある。これまで、FSHD発症に関わると考えられる新規遺伝子LRIF1に、バリアントを持つ家系を2家系同定した。また、共同研究により、発症修飾因子DNMT3Bのバリアントの探索も行ったが、発症に強く関与していると考えられるバリアントは見いだすことはできていない。 さらに、D4Z4リピートが唯一発症を決定していると考えられて来たFSHD家系の詳細な臨床症状の検討により、浸透率が100%ではない場合があり、これらの家系においてD4Z4のDNAメチル化解析を行うことにより、リピート長だけではなく、疾患発症を修飾しうる遺伝的背景があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FSHD患者の検体および臨床情報収集、ゲノム解析はおおむね順調に進んでいる。D4Z4結合因子については、enChIP法により、結合タンパク質の免疫沈降を行ったが、非特異的な結合が多く、マススペクトロメトリーを行うまでには至っていない。今後は、特異度の高い方法を検討する。
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今後の研究の推進方策 |
D4Z4メチル化が低下していても、既知の疾患修飾遺伝子に変異が見られない患者が複数名存在することから、新規の発症関与因子を見いだす必要がある。また、D4Z4リピート長が発症に関与している考えられて来た長さの患者群においても、疾患発症を修飾する因子があることがあるため、今後は、FSHDの遺伝子診断において、D4Z4リピート長だけではなく、D4Z4メチル化解析やSMCHD1などのバリアントを探索していく診断アルゴリズムを構築することが重要と考えられる。
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