研究課題
(A)生検骨格筋組織のRNA-Seqによる網羅的発現プロファイリング昨年度は、筋束周辺部萎縮を示した抗Jo1抗体、抗TIF1γ抗体、抗Mi2抗体の生検筋組織の発現解析をおこないヒートマップを解析し、3群が組織形態以外に発現mRNAレベルで特徴的なパターンを有すること明らかにした。本年度は、これらの皮膚筋炎特異抗体が障害が軽微な段階の筋組織でも特徴的なパターンを有するかを検討した。障害が軽微な抗Jo1抗体、抗TIF1γ抗体、抗MDA5抗体陽性の生検筋組織を用い、コントロールとして有意な筋病理所見を認めない4例を用いた。各群とコントロールを比較して有意にFold change >3で発現変動した遺伝子(DEGs: differentially expressed genes)を抽出した.3群に共通する192個のDEGからパスウェイ解析を行ったところ, 自然免疫の経路(Toll-like receptor signaling pathwayやNOD-like receptor signaling pathway)や補体活性化の経路(Complement and coagulation cascades)が含まれた.各MSA群でのみ抽出されたDEG (Jo-1群で504個,TIf1γ群で253個,MDA5群で258個)に含まれるパスウェイの内容はそれぞれ異なった。3群間で発現が有意に変動するDEG全てでクラスタリングを行うと, 各MSA群はそれぞれ別個のクラスタを形成した.本年度の検討で、障害が軽微な段階から出現抗体ごとに組織内の変動mRNAには差異が存在することが明らかになった。(B) 抗MDA5抗体陽性筋炎の初期と進行期の生検筋を用いた組織解析と次世代シーケンサーを用いた発現解析対象筋の血管密度の測定を終了した。次世代シーケンサーでの計算は終了し解析できる兆体にある。
2: おおむね順調に進展している
(A)生検骨格筋組織のRNA-Seqによる網羅的発現プロファイリングおおむね良好である。(B)抗MDA5抗体陽性筋炎の組織解析と次世代シーケンサーを用いた発現解析おおむね良好である。
(A)生検骨格筋組織のRNA-Seqによる網羅的発現プロファイリング現在のデータに基づき論文化をすすめる。(B)抗MDA5抗体陽性筋炎の組織解析と発現解析オントロジー、パスウェイに焦点を絞った解析を行う一方、MDA5蛋白の上下流の因子についても解析をする。病態機序に関係する特異的な変化となるmRNAの変化の同定をおこなう。
現在までの進捗状況は良好であり、適切な解析データが得られていると考える。論文化を進める一方、本年度では、得られた結論に対して、別の症例の材料を用いて結果が正しいかを評価する。そのための解析費用を最終年度に残した。また、論文化と成果の学会発表のための必要経費を残した。
研究結果の確認を別症例の発現解析でおこなう。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm
巻: 3: e290 ページ: 1-10
10.1212/NXI.0000000000000290
Neurology
巻: 87 ページ: 299-308