研究実績の概要 |
平成28年度は皮質間ネットワーク解析を進め、運動に関する皮質間ネットワークの知見を得て複数の国際専門学術雑誌に成果を報告した(Iwatsuki, Hoshiyama et al., 2016; Obayashi and Hoshiyama, 2017; Oyama, Hoshiyama et al., 2017; Uemura, Hoshiyama et al., 2017)。生理学的知見として、脳内の刺激情報は刺激後2秒以降も情報処理ネットワークに残存している点(Uemuram, Hoshiyama, et al., in submission)を明らかにできたことは、記憶や感覚運動連関、痛み後の病的可塑変化の形成に関する基礎的知見と考え評価した。末梢神経障害としての手根管症候群症例の検討では(Iwatsuki, Hoshiyama, et al., 2016),脳内の脱抑制反応の検出に成功し、末梢神経障害が脳内ネットワークの脱抑制性変化を生じることを明らかにし、慢性疼痛を生じる端緒となる病理に関連することが示唆された。また、切断肢症例(Oyama, Hoshiyama et al., 2017)では、義手装具の操作熟達に伴い、脳内ネットワークが変化していく所見を見出した。安静時脳磁図の解析は各年代の健常成人のデータの収集を終えて、解析を進めることができている。核磁気共鳴画像による構造的情報との対比を行う体制が整った。
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