研究課題
パーキンソン病(PD) 患者の抑制性回路の検討ー脳磁図を用いた痛みに関する研究パーキンソン病(PD) 患者の痛みに関する研究として、昨年同様に健常人高齢者と PD での体性感覚誘発脳磁場 (somatosensory evoked magnetic field : SEF) の測定を行い、健常人高齢者と PD においてその反応がどのように異なるかを解明する電気刺激の作成を試みた。対象は健常若年、健常高齢者、PD患者である。安静仰臥位にて右手首正中神経に電極をあて 0.2ms の定電流で 2 回連続刺激を行い、誘発脳磁記録からSEFの電流推定を行った。昨年の検討から連続刺激の間隔 (interstimulus interval : ISI) が80msでもっとも差が見られたため、ISIを80msとし3secの刺激間隔をとった。電流は、単発刺激の電流の大きさ RMS (ピーク時間の電流の大きさを平均した値) を 1 として、80msのISI における電流の大きさを若年、健常人高齢者と PD に分けて比で求めた。若年者と高齢者における第 1 波、第 2 波、第3波での同様の実験では、t検定を行い、第 1 波、第 2 波で ISI 80ms において若年郡が有意に低かった。しかし、 PD では高齢者のパターンと第 2 波で有意差がみられなかったが、第 1 波で抑制傾向が見られた。PDでは反回抑制系のパターン変化差が見られ、痛みの認知に関与している可能性が考えられる。症例の増加に合わせPhase-amplitude coulplingに異常がないか検討中である。さらに、刺激間隔を0.5秒に変更した場合の80msの反回抑制の影響も検討した。0.5秒の刺激感覚で80msの反回抑制に影響を与えないことを明らかにした。これにより、より短い時間で多くの解析が可能となることを確認した。
2: おおむね順調に進展している
第1波とした刺激後約20msに出る波と第2波とした刺激後約30msに出る波はほぼ同じ位置に推定され、測定系に問題はない。すでに感覚認知に関連し高齢者と若年者の違いが明らかになっている。すでに、この結果に関しては論文発表を終了している。パーキンソン病患者と高齢者との違いに関してはパーキンソン病患者で動きによるartifactが多く、解析困難例が多いが、有意差が見られてきていることから、今度解析方法をより広げることで病態に迫ることができると考えている。また今回の検討で、0.5秒程度の刺激間隔があれば、80msの反回抑制には影響を与えないことが明らかにできたため今度、刺激間隔の短縮によりより多くの解析が行えることが明らかになったためよりfocusを絞った検討ができる。パーキンソン病の疼痛に関して順調に症例を追加している。
現在の検討法以外にPhase-amplitude coulplingなどのconnectivityについて検討する。現在、新しい解析法としてBrain stormのfunction connectivity の検討も行なっている。function connectionを検討する際にrestingMRIと異なり、ここの脳でのsourceを決定することが重要である。この部分の問題点をどのように克服するかをパラメターを変更しながら解析を行っている。
納品予定のUSBメモリーが29年度になったため
残額として少額であるため最終年度に持ち越し、合算して有効利用するため
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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