本年度において以下の研究を行った。 1)小児へのClustering Index法(CI法)の臨床応用のデータを解析し、論文化した。神経筋疾患の小児45例(神経原性疾患16例、筋原性疾患29例)について、CI法を施行した。両群の全epochの判別分析を行い、ひとりの患者の全epochの判別関数の値の平均値をその患者の代表値とした。その結果、神経原性疾患患者の判別関数の平均値は、0.58±0.88 (-0.48~2.30)、筋原性疾患患者の判別関数の平均値は-0.55±0.70 (-2.38~0.68)であった。両群の上下限値をカットオフ値とすると、神経原性患者16例中7例、筋原性疾患29例中17例が正しく診断できた。この感度は、成人に比べるとかなり低かった。その理由は小児では皮下組織の厚さが厚い例があり、その変動が撹乱因子となって感度が下がったものと推測された。 2)成人での最初のCI法の報告ではwindow幅として、神経原性の巨大MUPが概ね入る幅として15 msに設定したが、これが最適かどうかの保証はなかった。今回はwindow幅を様々に変えて、増えた症例数について検討したところ、window幅 22.5 msにおいて、神経原性筋原性のz-scoreの平均値、健常者との比較との感度も最大となった。 3)同一被検者の同一のTA筋で針筋電図とCI法と両者を記録している例について、針筋電図については運動単位電位(MUP)パラメータの定量解析を行い、CI法と感度を比較した。結果として、MUPパラメータにもよるが、CI法は患者レベルにおいて針筋電図の最も感度の高いパラメータであるSize indexに匹敵する感度を達成でき、特に筋原性疾患の感度が高かった。 以上の1)については論文改訂中、2)と3)については論文準備中である。 その他いくつかの関連研究を行った。
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