ラット片側嗅内野が傷害されると反対側嗅内野から傷害側海馬体への入力線維数が劇的に増加することが知られる。本研究はこの再神経支配現象の機構を明らかにすべく、まず正常ラットの嗅内野―海馬体投射における個々の神経細胞の軸索形態を調べ、再神経支配に特徴的な突起形態の変化を抽出、更にウサギや霊長類についても正常な投射形態を調べた後、各動物種の再神経支配モデル確立を目指す。成果としてラット前海馬台単一細胞から嗅内野へ投射する軸索が嗅内野内部で帯状に広がる複雑な終末神経叢を呈すること、また動物種を超えて共通する主要な線維連絡に加えてウサギやマーモセットに動物種特異的な投射が複数存在することを明らかにした。
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