研究課題/領域番号 |
15K09366
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研究機関 | 九州看護福祉大学 |
研究代表者 |
熊本 俊秀 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 教授 (40134936)
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研究分担者 |
古堅 裕章 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 助教 (30636105)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | サルコペニア / 高齢者 / 寝たきり / 認知症 / 筋障害マーカー |
研究実績の概要 |
国民の平均寿命は世界一になったが、それとともに認知症、自立度の低下、フレイルや寝たきりなどの要支援・要介護状態を有する高齢者が増加しつつある。その成因の1つとして欧米を中心に加齢に伴う筋容量の減少症(サルコペニア)の関与が示唆されている。高齢者の自立度の低下や寝たきりの一因とされる加齢に伴うサルコペニアの臨床的意義を明らかにするために、地域在住高齢者および医療機関、または老人保健施設に入院・入所中の患者、デイケア通院中の高齢者を対象に問診、神経学的診察、身体計測、認知機能検査(MMSE、HDS)とともに四肢の筋力、筋肉量を含む体成分、運動機能(TUG, 6m歩行)、ADL活動能力(Bathel Index)を解析する。高齢者におけるサルコペニアの実態およびその臨床神経学的特徴、さらに健常高齢者および認知症を含む神経障害を有する高齢者におけるサルコペニアの臨床的意義と病態を明らかにする。併せて筋の萎縮に影響を及ぼす血中炎症性サイトカイン、マイオスタチンを測定し、サルコペニアの分子マーカーとしての有用性を検討し、筋萎縮の機序を明らかにする。さらにサルコペニアを有する軽度認知症やパーキンソニスム高齢者に栄養療法、運動療法などを行い、筋障害抑制効果および認知機能障害を含む神経症状の改善に対する有用性を検討し、サルコペニアの予防・治療の可能性を探る。現在、A病院(約260人)およびB老人保健施設(約120人)に入院・入所、またはデイケアを含む外来通院中の患者について上記調査研究を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
運動神経や筋肉に直接影響を及ぼさない認知症および精神疾患患者を対象にA病院およびB介護老人保健施設に入院・入所、さらにA病院の外来およびA・B施設併設のデイケアに通所中の患者について全数把握に基づく検診を行い、問診、筋力評価を含む神経診察とともに①HDS-R, MMSE、②体成分分析、③形態計測・握力、④TUG、6m歩行速度を測定している。筋量は生体成分分析装置を用いた生体電気インピーダンス法(BIA)で測定した。すでに平成27年度末までに約280人を検診し、データーベースを作成し、逐次PCに入力している。研究は比較的順調に推進していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書に記載した「研究の目的」「研究実施計画」に従って、研究を推進する。すなわち、A病院、B施設の対象者についてデータ集積(検診)とデータ入力・解析を完了させる。さらにサルコペニア診断のために、使用している生体成分分析装置(BIA法、InBoBy)による健常若年成人(20~40歳)の筋量指数skeletal muscle mass index(SMI)の基準値を作成する。併せて地域在住高齢者についての同様の検診を開始する。血清中炎症性サイトカイン、マイオスタチンの測定および平成29年度に行う予定のサルコペニアに対する筋障害抑制効果および認知機能障害を含む神経症状の改善に対する有用性についての研究の準備を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在も本調査は進行中であるが、とくにADL調査が遅れているめ、その予算は次年度に計上する。
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画書に従って、予定通り、ADL調査を含め、研究を推進する。
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