研究課題/領域番号 |
15K09369
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
今林 悦子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 脳病態統合イメージングセンター 臨床脳画像研究部, 室長 (30406491)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 脳PET / 炎症 / ミエリン代謝 |
研究実績の概要 |
まず、当初研究に使用したいと計画していた[11C]MeDASは安定性の面にて臨床利用が難しいと判断されたため、[11C]MeDASについては製造を実施しないことを決定した。代替および同時に利用する薬剤としてあらかじめ計画していた[11C]PiBによる研究を開始する予定とした。 当該年度は、[11C]PiBによるPET検査は、first in humanではないものの、当施設のPET薬剤製造施設では、改造後はじめての導入となるので、まず、3ロット試験を実施し、PET薬剤委員会の承認を得、臨床利用可能な状況を設定した。 続いて、同じく実施を計画していた[18F]FDG-PETについて、研究利用のためには院内合成を行う必要があるので、そちらの準備も実施し、院内合成にて検査実施可能な状況を作った。その他、すでに報告は存在するものの情報に乏しい[11C]PiBがどの程度ミエリン代謝を反映するのかという点に関して、評価する必要があると考え、動物実験を行うことを計画し、分担研究者を追加した。 また、[11C]MeDASの実施が難しいことをうけ、炎症の評価を加えたいと考え、成熟薬剤ではあるものの画質が不良で、実際の評価は困難と評価されている[11C]PK11195ではなく、N-Benzyl-N-methyl-2-(7-[11C]methyl-8-oxo-2-phenyl-7,8-dihydro- 9H-purin-9-yl) acetamide ([11C]DAC)に着目し、[11C]MeDASの代替として[11C]PiBに加えての実施を開始しはじめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた[11C]MeDASの臨床利用が困難とわかり、使用薬剤を[11C]PiBに切り替えた。こちらの薬剤はfirst in humannではないので、本年度、研究利用できるまでの状況にはもちこめている。また、さらに、論文報告がひとつはあるものの、[11C]PiBがどのようにミエリン代謝を反映するかは不明な点も多いため、時間に余裕ができた分、動物実験での評価も加えるべく、動物実験に関する計画の立ち上げを実施した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度からは、[11C]DACの導入に関しての実施実現可能かどうかを見極めながら準備を開始する。同時に[11C]PiBとミエリン代謝の関係について動物実験を行い、脱髄疾患の臨床評価にもっとも適切な薬剤を決定し、実際の利用に向けての準備を開始したい。具体的には、[11C]DACについては、倫理委員会およびPET薬剤委員会での承認が得られれば、健常人での評価を行う。動物実験の結果と、[11C]DACの健常人での結果を合わせて、適切と判断されるいずれかもしくは双方の薬剤と[18F]FDG-PETを用いた研究について、倫理申請を行い、脱髄疾患における臨床評価に関する研究を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
[11C]MeDASについては製造を実施しないことを決定したので、毒性試験が不要となった。 これに変わり、[11C]PiBでのミエリン代謝の評価を行うこととなったので、動物実験のオートラジオグラフィによるPiBとミエリン代謝について詳細に評価する必要性が生じた。このため、次年度[3H]PiBを購入することとなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
[3H]PiB購入費用 共同研究者との情報交換のための交通費および学会出張費
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