高次クロマチン構造解析・ゲノム編集による脂肪細胞特異的な遺伝子発現制御機構の解明

2015 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 15K09378
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 青山 倫久 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (50645538)
• 研究期間 (年度): 2015-04-01 – 2018-03-31
• キーワード: 糖尿病 / 肥満 / 脂肪細胞 / 発生・分化 / 遺伝子 / 転写制御 / 高次クロマチン構造 / ゲノム編集

研究実績の概要

脂肪細胞の分化は転写因子のカスケードにより調節されており、中でもマスターレギュレーターであるPPARγとC/EBPαのポジティブフィードバックループは重要な役割を果たすと考えられているが、PPARγによるC/EBPα遺伝子の転写制御領域（エンハンサー）は現在まで不明であった。これまでの我々の検討で、ChIP-seqによるPPARγ結合部位のゲノムワイドな解析などから、既存のアプローチでは明らかでなかったC/EBPα遺伝子の遠位領域に存在する複数のエンハンサー候補領域を同定した。分化に伴いこれらの領域は、エンハンサー上の転写因子とプロモーター上のPolII間を架橋するメディエーター複合体のMED1サブユニットの濃縮を認めた。またC/EBPα遺伝子の遠位エンハンサーとプロモーターにゲノムDNAのループ構造の形成に関わるインスレーター結合蛋白CTCFの結合領域を見出した。核内でのゲノム領域間の3次元的な近接関係を検出する3C (Chromosome Conformation Capture)法や、3C法と次世代シークエンサーの組み合わせによりゲノムワイドにクロマチンの近接関係を検出する4C-seqによる解析では、これらの遠位エンハンサーとプロモーター間に分化により増強する近接関係を認め、PPARγによるC/EBPα遺伝子の転写制御において、遠位エンハンサーとプロモーター間のクロマチンループが重要な役割を果たす可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成27年度について予定していた研究目的は、ほぼ達成し、おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

平成27年度について予定していた研究目的は、ほぼ達成し、おおむね順調に進展していると考えられるため、引き続き当初の計画通り、研究を推進する予定である。

研究成果

• [学会発表] Long-Range Transactivation of Cebpa Expression by PPARγ through Distal Enhancers during Adipocyte Differentiation (2015)
  • 著者名/発表者名: Tomohisa Aoyama, Hironori Waki, Toshimasa Yamauchi, Ken-ichi Wakabayashi, Tsuyoshi Inoue, Masahiro Nakamura, Jing Yu, Takanori Fujita, Masato, Iwabu, Miki Okada-Iwabu, Takuya Sugiyama, Ueki Kohjiro, Youichiro Wada, Shuichi Tsutsumi, Tatsuhiko Kodama, Juro Sakai, Hiroyuki Aburatani and Takashi Kadowaki
  • 学会等名: Keystone Symposia on Diabetes: New Insights into Molecular Mechanisms and Therapeutic Strategies
  • 発表場所: Tokyo, Japan
  • 年月日: 2015-10-26
  • 国際学会
• [学会発表] Long-Range Transactivation of C/EBPα Gene Expression by PPARγ through Distal Enhancers during Adipocyte Differentiation (2015)
  • 著者名/発表者名: Tomohisa Aoyama, Hironori Waki, Toshimasa Yamauchi, Ken-ichi Wakabayashi, Tsuyoshi Inoue, Masahiro Nakamura, Jing Yu, Takanori Fujita, Masato, Iwabu, Miki Okada-Iwabu, Takuya Sugiyama, Ueki Kohjiro, Youichiro Wada, Shuichi Tsutsumi, Tatsuhiko Kodama, Juro Sakai, Hiroyuki Aburatani and Takashi Kadowaki
  • 学会等名: The 8th Asia-Oceania Conference on Obesity
  • 発表場所: Nagoya, Japan
  • 年月日: 2015-10-03
  • 国際学会
• [学会発表] 脂肪細胞における遠位エンハンサーを介したPPARγによるC/EBPα遺伝子の転写制御機構の解析 (2015)
  • 著者名/発表者名: 青山倫久、脇裕典、山内敏正、若林賢一、井上剛、中村正裕、于静、冨岡恵、藤田隆教、岩部真人、岩部美紀、杉山拓也、植木浩二郎、和田洋一郎、堤修一、児玉龍彦、酒井寿郎、油谷浩幸、門脇孝
  • 学会等名: 第36回日本肥満学会
  • 発表場所: 名古屋国際会議場（愛知県名古屋市）
  • 年月日: 2015-10-02
• [学会発表] 脂肪細胞における遠位エンハンサーを介したPPARγによるC/EBPα遺伝子の転写制御機構の解析 (2015)
  • 著者名/発表者名: 青山倫久、脇裕典、山内敏正、若林賢一、井上剛、中村正裕、于静、冨岡恵、平池 勇雄、藤田隆教、岩部真人、岩部美紀、杉山拓也、植木浩二郎、和田洋一郎、堤修一、児玉龍彦、酒井寿郎、油谷浩幸、門脇孝
  • 学会等名: 第20回アディポサイエンス・シンポジウム
  • 発表場所: 千里ライフサイエンスセンター（大阪府・豊中市）
  • 年月日: 2015-08-22
• [学会発表] 脂肪細胞における遠位エンハンサーを介したPPARγによるC/EBPα遺伝子の転写制御機構の解析 (2015)
  • 著者名/発表者名: 青山倫久、脇裕典、山内敏正、若林賢一、井上剛、中村正裕、于静、武和巳、冨岡恵、孫威、平池 勇雄、藤田隆教、岩部真人、岩部美紀、杉山拓也、植木浩二郎、和田洋一郎、堤修一、児玉龍彦、酒井寿郎、油谷浩幸、門脇孝
  • 学会等名: 第15回 東京大学生命科学シンポジウム
  • 発表場所: 東京大学（東京都文京区）
  • 年月日: 2015-06-27
• [学会発表] 脂肪細胞における遠位エンハンサーを介したPPARγによるC/EBPα遺伝子の転写制御機構の解析 (2015)
  • 著者名/発表者名: 青山倫久、脇裕典、山内敏正、若林賢一、井上剛、中村正裕、于静、武和巳、冨岡恵、孫威、平池 勇雄、藤田隆教、岩部真人、岩部美紀、杉山拓也、植木浩二郎、和田洋一郎、堤修一、児玉龍彦、酒井寿郎、油谷浩幸、門脇孝
  • 学会等名: 第58回日本糖尿病学会年次学術集会
  • 発表場所: 海峡メッセ下関（山口県・下関市）他
  • 年月日: 2015-05-21
• [学会発表] 脂肪細胞における遠位エンハンサーを介したPPARγによるC/EBPα遺伝子の転写制御機構の解析 (2015)
  • 著者名/発表者名: 青山倫久、脇裕典、山内敏正、若林賢一、井上剛、中村正裕、于静、武和巳、孫威、冨岡恵、藤田隆教、岩部真人、岩部美紀、杉山拓也、植木浩二郎、和田洋一郎、堤修一、児玉龍彦、酒井寿郎、油谷浩幸、門脇孝
  • 学会等名: 第88回日本内分泌学会学術総会
  • 発表場所: ホテルニューオータニ東京（東京都・千代田区）
  • 年月日: 2015-04-24
  • 招待講演
• [学会発表] 脂肪細胞における遠位エンハンサーを介したPPARγによるC/EBPα遺伝子の転写制御機構の解析 (2015)
  • 著者名/発表者名: 青山倫久、脇裕典、山内敏正、若林賢一、井上剛、中村正裕、和田洋一郎、堤修一、児玉龍彦、酒井寿郎、油谷浩幸、門脇孝
  • 学会等名: 第52回日本臨床分子医学会学術集会
  • 発表場所: みやこめっせ（京都府・京都市）
  • 年月日: 2015-04-10
• [図書] 内分泌・糖尿病・代謝内科【遺伝因子同定から発症機序解明と治療法開発に向けて】 話題 肥満関連ゲノム領域とFTO/IRX3の関連と意義 (2015)
  • 著者名/発表者名: 青山倫久、脇 裕典、山内敏正、門脇 孝
  • 総ページ数: 83(306-311)
  • 出版者: 科学評論社