肥満防止に重要な中枢性エネルギー代謝の調節機序を解明するため、睡眠・覚醒や自律神経バランスの日内変動を調節する視床下部オレキシン系の意義を検証した。肥満マウスにおいて日周性のオレキシン作用を増幅すると代謝異常が改善し、オレキシン作用を欠損させると代謝異常が増悪することを見出した。また、オレキシンは雌性の性周期制御因子エストロゲンとの連係作用により肥満による代謝異常を防止した。したがって、オレキシン系によるエネルギー恒常性の「動的」制御は、肥満に伴う糖尿病や代謝異常を防御する鍵因子であると考えられる。
|