研究課題
Magnetic-activated cell sorting法(MACS)を用いてマウスの視床下部からミクログリアおよびアストロサイトを単離し機能解析を行ったところ、にミクログリアでは高脂肪食投与後3日目にTNFαのmRNA発現が有意に増強し、7日目に有意に減弱、28日目に再度有意な発現の増強を認めた。一方、アストロサイトでは高脂肪食投与3日目に抗炎症性サイトカインであるIL-10のmRNA発現が有意に増強し、その後7日目、28日目には減弱した。またTNFαについては高脂肪食投与28日目に有意な発現の増強を認めた。以上の結果から高脂肪食投与早期においてアストロサイトは抗炎症作用を有する可能性が示唆された。次に、高脂肪食投与下でアストロサイトにおけるProtein tyrosine phosphatase 1B(PTP1B)の役割を明らかにする目的で、Cre-loxPシステムを用いてGlial fibrillary acidic protein特異的にPTP1Bの発現を欠損させたマウスを作成後、生後3週齢から普通食もしくは高脂肪食を投与し、毎週体重を測定してPTP1B発現欠損群(KO)とコントロール群(WT)で比較検討した。その結果、高脂肪食投与群において雌雄ともにKOはWTと比較して有意な体重減少を認めた(雄は15週以降、雌は18週以降WTと比較して有意な体重減少を認めた)。一方、普通食群では雌雄ともに両群間で体重に有意差を認めなかった。以上の結果から、アストロサイトにおけるPTP1Bは高脂肪食投与下でエネルギーバランスを正に調節することが示された。
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