研究課題/領域番号 |
15K09382
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
荒木 信一 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (80378455)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 糖尿病性腎症 |
研究実績の概要 |
糖尿病患者の生命予後を改善させるため、腎症を含む血管合併症の発症・進展阻止は重要である。本研究課題は、糖尿病血管合併症の克服を目指し、血管合併症の早期発見・早期治療介入を可能とする治療戦略構築のため、これまでの病態モデル動物実験(Tanaka Y et al. Free Radic Biol Med 89:831-841, 2015)により見出した細胞内エネルギー代謝維持に不可欠なNAD (nicotinamide adenine dinucleotide)代謝経路に着目し、2 型糖尿病患者の血管合併症の発症・進展、特に、腎機能低下予測に、1-MNA を含むNAD 代謝産物が関与する可能性およびNAD 代謝産物が血管合併症の新規バイオマーカーとなる可能性を検証するとともに、NAD 代謝に関与する遺伝子多型が尿中NAD 代謝産物量に与える影響と疾患感受性を探索し、オーダーメイド医療への展開・応用を探ることを目的とする。本年度は、滋賀医科大学で実施している糖尿病前向き経過観察研究に参加されている対象症例の平成27年度末における臨床検査データ・心血管イベント発症の有無・その他疾病手術等の有無などの調査を実施し、経年的データファイルを継続的に実施した。現在、保存ヒト尿サンプルを用いたNAD 代謝産物である1-MNA を含むNAD 代謝産物の定量測定を実施・検討しているが、尿蛋白量あるいは尿希釈の程度が、測定値に影響を及ぼすため、安定した高精度測定法の確立を目指し、漸次を改良を実施し、測定精度の向上に努めている。また、対象症例の保存DNA を用い、NNMT などNAD 代謝経路に関連する遺伝子群に関し、既報のSNP による遺伝子多型のタイピングを順次継続的に実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
病態モデル動物実験とは異なり、保存ヒト尿サンプルを用いたNAD 代謝産物の定量測定では、尿蛋白量あるいは尿希釈の程度が、測定値に影響を及ぼすため、安定的に高精度な測定系の確立を目指し、漸次を改良を実施し、測定精度の向上に努めている。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト尿サンプルでのNAD 代謝産物の定量測定法を確立し、糖尿病前向き経過観察研究の経年的データを用いて、NAD 代謝産物量と血管合併症の発症・進展との関連を後ろ向きコホート研究にて検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に予定していた保存ヒト尿サンプル(約500サンプル)測定をすべて終了できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度(28年度)に保存ヒト尿サンプル測定を実施・完了する予定であり、その測定費用に用いる予定である。
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