研究実績の概要 |
タモキシフェン誘導性膵島特異的OGT遺伝子ノックアウトマウスを作成した。 これまでの検討にて、膵島特異的OGT遺伝子ノックアウトマウスは、タモキシフェン誘導後4-5週(早期相)より一過性に体重及び血中インスリン値の上昇および低血糖を認めたが、その後血中インスリン値は減少していき、タモキシフェン誘導後10週(後期相)では血中インスリン値は対象マウスと比較して有意に低下していた。それと同時に空腹時血糖値の上昇及び体重減少を認め、糖尿病と同様の表現系を呈した。また、組織学的検討にて早期相並びに後期相の膵島におけるOGTやO-GlcNAc修飾蛋白の蛋白発現は低下していた。また、早期相では膵島内インスリン量の増加やIns2、Pdx1発現が増加していたが、後期相では膵組織に対する膵島面積は減少しており、膵島内インスリン蛋白発現の低下やIns1,2, MafAの発現が低下していた。また、透過型電子顕微鏡ではβ細胞においてインスリン顆粒の減少及び形態の乱れが認められた。さらにアポトーシスの評価のために行ったTUNEL染色では陽性細胞の増加を認めた。そして後期相ではND3-5, Mtco1, Cycなどミトコンドリア関連の遺伝子が増加しており、Ho1, Nqo1, Catalase, MnSODなどの酸化ストレス、抗酸化関連遺伝子も有意に増加していた。また、小胞体ストレスの増加が観察された。 一方、全身で作用するタモキシフェン誘導性OGT遺伝子ノックアウトマウスを作成した。このマウスは肝臓や骨格筋、膵臓や脂肪組織でのO-GlcNAc修飾蛋白の蛋白発現が減少していた。また、血糖低下を伴う致死性表現系を示した。 さらに、膵 β 細胞由来細胞株 MIN6に対してOGTのsi-RNAを投与したところ、OGT遺伝子発現の減少を認めた。
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