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2016 年度 実施状況報告書

障害膵β細胞の機能回復・機能的膵β細胞作製へ向けた試み

研究課題

研究課題/領域番号 15K09388
研究機関大阪大学

研究代表者

松岡 孝昭  大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (10379258)

研究分担者 片上 直人  大阪大学, 医学系研究科, 寄付講座講師 (10403049)
河盛 段  大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50622362)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード膵β細胞障害 / インスリン分泌 / インスリン転写因子 / 分化転換
研究実績の概要

(A) 糖毒性解除による膵β細胞機能改善メカニズムの解析
糖毒性に感受性のある、未知の因子を網羅的に解析すべく、db/dbマウスへ1週間SGLT2阻害剤を投与した後、膵島RNAを抽出し、無治療db/db群との間でDNA microarray解析による膵島内遺伝子発現量の比較を行った。両群マウス間で2倍以上の発現量変化があり、有意に変化する42因子を抽出した。膵β細胞機能に関与することがGWASの結果から推測される因子も含まれており、免疫組織染色およびRT-PCRによる局在評価を行った。同因子は膵β細胞に特異的に発現しており、膵β細胞株において同因子のノックダウン解析を行ったところ、グルコース応答性インスリン分泌(GSIS)の有意な低下を認めた。現在、同因子のノックアウトマウスの作製を行っており、in vivoにおける同因子の機能的役割を解析する予定としている。

(B) 非β細胞の正常β細胞化へ向けた試み
我々の作製したマウスを用いてMafa、Pdx1、Ngn3の3因子を同時に発現誘導すると様々な細胞・組織においてインスリン陽性細胞化することが認められたが、標的細胞の違いにより誘導されたインスリン陽性細胞に違いが生じるかは明らかではない。Sox9-Creを用いて3因子を膵導管細胞へ発現誘導した場合と、Elastase-CreERを用いて膵腺房細胞へ発現誘導した場合とで、新生インスリン陽性細胞を比較したところ、いずれもGSISを認めたものの、導管細胞由来膵β様細胞の方がインスリン陽性化率が高く、インスリン陽性細胞数で補正した解析においても、インスリン分泌能が高かった。これら3因子を用いて膵β細胞への分化転換を目指す場合、その標的細胞の選択も重要であることが示された。(論文投稿中)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(A)糖毒性感受性遺伝子として解析対象とした遺伝子の重要性が、少なくともin vivoにおいては明らかとなってきており、当初予定していたノックアウトマウスの作製へと予定通りの進展を認めている。

(B)当初目的としていた通り、母細胞の選択により膵β細胞への分化転換効率さらにはGSISを指標とした成熟度に違いがあることを確認し得たことは有意義であると思われる。この結果は予定通り論文化しており、現在投稿中である。

今後の研究の推進方策

(A) 糖毒性解除による膵β細胞機能改善メカニズムの解析
上記検討において我々が対象とした因子が、少なくともin vivoにおいては膵β細胞での機能を有することが認められたため、膵β細胞特異的ノックアウトマウスを作製中である。今後、in vivoでの重要性を解析するとともに、糖尿病病態との関連を検討する。

(B) 非β細胞の正常β細胞化へ向けた試み
上記結果の論文投稿中。今後、他組織への3因子異所性発現および時期を変えての発現誘導などを予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Mafa Enables Pdx1 to Effectively Convert Pancreatic Islet Progenitors and Committed Islet α-Cells into β-Cells in Vivo2017

    • 著者名/発表者名
      Matsuoka TA, Kawashima S, Miyatsuka T, Sasaki S, Shimo N, Katakami N, Kawamori D, Takebe S, Herrera PL, Kaneto H, Stein R, Shimomura I
    • 雑誌名

      Diabetes

      巻: 66 ページ: in press

    • DOI

      10.2337/db16-0887

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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