研究課題/領域番号 |
15K09395
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
前島 裕子 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (40438669)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 幼若期 / 摂食 / 肥満 |
研究実績の概要 |
摂食調節、肥満の研究は現在非常に重要な研究課題であり、世界的に見ても近年子供の肥満も増加している。しかし幼少期の摂食調節に特化した研究はほとんど存在しない。そこで我々は幼少期特有の摂食調節に着目し、その機構を明らかにすることを目的としている。現在のところ成体の動物は高脂肪食を与えると、過剰なエネルギー摂取が見られることに対し、離乳直後の幼若期のラットでは高脂肪食においても普通食と同様のエネルギー摂取になることを見出した。しかし幼少期の体重当たりのエネルギー摂取は、成体ラットの体重当たりのエネルギー摂取をはるかに上回る。成長期なので当然であると考えられるが、そのメカニズムをさらに追及した。 我々は、脳内の報酬系に 着目し報酬系神経経路を幼若期と成体ラットで比較したが全く違いはなかった。次に報酬系に非常に深く関連する腹側被蓋野(VTA)を構成する重要なニューロンであるドーパミンとGABAニューロンの分布を調べると、ドーパミンニューロン数に有意な差はなかったが、GABAニューロン数が幼若ラットで少ないことが明らかになった。さらに成体ラットにおいて、神経毒を用いてGABAニューロン特異的に破壊すると、幼若期ラットの特徴と酷似した摂食行動が見られた。このことから、成長期に必要なエネルギーの(過剰)摂取はVTA GABAニューロンが未発達なためであることが分かってきた。この発見は成長期の子供の急速な発達を担う非常に重要なメカニズムであると考えられ、次年度は細胞レベルの解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
到達目標の約7割まで2年間で進み、残す1年では必須なデータの収集に徹するつもりであり、予定通りである。
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今後の研究の推進方策 |
前述のように、幼若期の食欲調節の特徴(体重当たりの摂取カロリーが成体の摂取カロリーをはるかに上回る事象)はVTAのGABAニューロンが重要なことが、in vivoの実験より明らかになってきたので、今後は、この in vivoのデータの例数を増やしデータを固めるとともに、VTAドーパミンニューロン活性を電気生理学的に幼若ラットと成体ラットで比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
大事に使用させていただいており、年度末に特に必要な購入品がなく、次年度本当に必要になった物品に使用したいと考えたため結果的に次年度使用額が生じてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額1061円は翌年度に必要な実験消耗品の購入に使用する予定。
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