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2017 年度 実績報告書

幼少期エネルギー環境に適応した室傍核オキシトシン神経回路網の発達・構築機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K09395
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

前島 裕子  福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (40438669)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード成長 / 過食 / 報酬系 / GABA / 腹側被蓋野
研究実績の概要

近年肥満者人口の増加が世界中で問題になっている。肥満は心血管障害など多くの疾患を引き起こす。肥満の主な原因の一つは「過食」であり、近年、摂食調節機序に関する研究は盛んであるが不明な点が多く残されている。
幼若期ラットの体重あたりの摂取エネルギー量は成体ラットの体重あたりの摂取エネルギー量を上回る。一般的な哺乳類の成長期として当然の現象であると考えられるが、本研究では成体ラットと幼若ラットの摂食調節機構を生理学的、解剖学的視点より比較することで幼若期のいわゆる「過食」のメカニズムを解明することを目的とした。
66日間にわたり高脂肪食を8週齢および3週齢のラットに与えると、8週齢のラットはエネルギー摂取量の増加、体重増加が見られたが、3週齢のラットではその両方が見られなかった。しかし、体脂肪を調べてみると、体重に変化がなかった3週齢のラットでも、内臓、皮下脂肪が増加していた。このことから、摂取カロリーおよび体重が平均と変わらなくても、幼若期の食事内容次第では、幼少期およびそれ以降において隠れ肥満を引き起こす可能性を示唆している。
また詳細な解析の結果、3週齢のラットには、高脂肪食への嗜好性はすでに確立されており、幼若期の動物は食事の内容にかかわらず、食事自体が報酬であり、摂取可能な最大のエネルギー量を摂取している、つまり幼若ラットは、報酬系が過度に活動しているという仮説が考えられた。解剖学的比較において、オキシトシンおよび主な報酬系神経回路は8週齢と3週齢で大きな差がなかったが、3週齢のラットでは腹側被蓋野におけるニューロン数およびその樹状突起の未発達性が観察された。よって幼少期の成長をになう過食は一部腹側被蓋野におけるニューロンの未発達性が担うことが示唆された。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件) 備考 (4件)

  • [雑誌論文] The Anorexigenic Neural Pathways of Oxytocin and its Clinical Implication2018

    • 著者名/発表者名
      Maejima Yuko、Yokota Shoko、Nishimori Katsuhiko、Shimomura Kenju
    • 雑誌名

      Neuroendocrinology

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      10.1159/000489263

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Nesfatin-1 inhibits voltage gated K+ channels in pancreatic beta cells.2017

    • 著者名/発表者名
      Maejima Y, Horita S, Kobayashi D, Aoki M, O'hashi R, Imai R, Sakamoto K, Mori M, Takasu K, Ogawa K, Takenoshita S, Zhao S, Hazama A, Shimomura K.
    • 雑誌名

      Peptides

      巻: 95 ページ: 10-15

    • DOI

      10.1016/j.peptides.2017.07.001

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Orexin action on oxytocin neurons in the paraventricular nucleus of the hypothalamus2017

    • 著者名/発表者名
      Maejima Yuko、Takahashi Shinichi、Takasu Katsuya、Takenoshita Seiichi、Ueta Yoichi、Shimomura Kenju
    • 雑誌名

      NeuroReport

      巻: 28 ページ: 360~366

    • DOI

      10.1097/WNR.0000000000000773

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Impact of sex, fat distribution and initial body weight on oxytocin’s body weight regulation2017

    • 著者名/発表者名
      Maejima Yuko、Aoyama Masato、Sakamoto Kazuho、Jojima Teruo、Aso Yoshimasa、Takasu Katsuya、Takenosihita Seiichi、Shimomura Kenju
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 7 ページ: 1-10

    • DOI

      10.1038/s41598-017-09318-7

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] オキシトシンと漢方薬 ~健康寿命を考える~2018

    • 著者名/発表者名
      前島 裕子
    • 学会等名
      Men's Health 医学会
  • [図書] 神経内科 漢方薬からみた視床下部オキシトシンニューロンに対する作用2018

    • 著者名/発表者名
      前島裕子 下村健寿
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      科学評論社
  • [備考] 「愛情ホルモン」オキシトシンが脂肪燃焼 マウス実験で肥満児ほどダイエット効果

    • URL

      https://www.j-cast.com/2017/09/22309011.html?p=all

  • [備考] 性別、脂肪分布、体重に対するオキシトシンの体重制御効果の有効性についての検討

    • URL

      https://www.fmu.ac.jp/univ/kenkyuseika/research/1705.html

  • [備考] <福島県立医大>オキシトシン、太ったマウスほど肥満抑制効果 臨床応用へ一歩

    • URL

      www.kahoku.co.jp/tohokunews/201709/20170901_63012.html

  • [備考] 「オキシトシン」の肥満改善作用、肥満なほど効果高く-マウスを用いた実験で検証、福島県立医大ら

    • URL

      http://www.carenet.com/news/general/hdnj/44636

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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