研究課題
近年肥満者人口の増加が世界中で問題になっている。肥満は心血管障害など多くの疾患を引き起こす。肥満の主な原因の一つは「過食」であり、近年、摂食調節機序に関する研究は盛んであるが不明な点が多く残されている。幼若期ラットの体重あたりの摂取エネルギー量は成体ラットの体重あたりの摂取エネルギー量を上回る。一般的な哺乳類の成長期として当然の現象であると考えられるが、本研究では成体ラットと幼若ラットの摂食調節機構を生理学的、解剖学的視点より比較することで幼若期のいわゆる「過食」のメカニズムを解明することを目的とした。66日間にわたり高脂肪食を8週齢および3週齢のラットに与えると、8週齢のラットはエネルギー摂取量の増加、体重増加が見られたが、3週齢のラットではその両方が見られなかった。しかし、体脂肪を調べてみると、体重に変化がなかった3週齢のラットでも、内臓、皮下脂肪が増加していた。このことから、摂取カロリーおよび体重が平均と変わらなくても、幼若期の食事内容次第では、幼少期およびそれ以降において隠れ肥満を引き起こす可能性を示唆している。また詳細な解析の結果、3週齢のラットには、高脂肪食への嗜好性はすでに確立されており、幼若期の動物は食事の内容にかかわらず、食事自体が報酬であり、摂取可能な最大のエネルギー量を摂取している、つまり幼若ラットは、報酬系が過度に活動しているという仮説が考えられた。解剖学的比較において、オキシトシンおよび主な報酬系神経回路は8週齢と3週齢で大きな差がなかったが、3週齢のラットでは腹側被蓋野におけるニューロン数およびその樹状突起の未発達性が観察された。よって幼少期の成長をになう過食は一部腹側被蓋野におけるニューロンの未発達性が担うことが示唆された。
すべて 2018 2017 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件) 備考 (4件)
Neuroendocrinology
巻: in press ページ: in press
10.1159/000489263
Peptides
巻: 95 ページ: 10-15
10.1016/j.peptides.2017.07.001
NeuroReport
巻: 28 ページ: 360~366
10.1097/WNR.0000000000000773
Scientific Reports
巻: 7 ページ: 1-10
10.1038/s41598-017-09318-7
https://www.j-cast.com/2017/09/22309011.html?p=all
https://www.fmu.ac.jp/univ/kenkyuseika/research/1705.html
www.kahoku.co.jp/tohokunews/201709/20170901_63012.html
http://www.carenet.com/news/general/hdnj/44636