研究課題/領域番号 |
15K09398
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
小野 啓 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10570616)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Akt / インスリン抵抗性 / 視床下部 / 摂食調節 / インスリン情報伝達 / グルコースクランプ法 / 阻害薬 / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
昨年までの実験結果として、恒常活性型Aktをアデノウイルスベクターを用いてラット視床下部弓状核に過剰発現させたところ高脂肪食摂餌によって生じたインスリン抵抗性が軽減したことを報告した。この逆の実験として、通常食を摂餌したSprague-Dawleyラットの第3脳室にAkt阻害薬を注入しつつ、無麻酔非拘束下高インスリン血症正常血糖クランプ法にてインスリン抵抗性が生じるかどうかを調査したが、溶媒を注入したコントロールと比較して有意な変化は認められなかった。そこで、Aktが直接リン酸化してその活性を抑制する基質のうちで糖代謝への関連が既報で示唆されているFoxO1、PGC1αおよびGSK3βのそれぞれにおいてAktリン酸化部位をアラニン置換した恒常活性型変異体である、FoxO1-T24A-S253A-S316A、PGC1α-S570AおよびGSK3β-S9Aのそれぞれを過剰発現させるアデノウイルスベクターを作成し、この3種のアデノウイルスを混和して視床下部弓状核に注入し3種の恒常活性型Akt基質を同部位で過剰発現させたところ、高インスリン血症正常血糖クランプ実験において肝臓のインスリン抵抗性が生じる傾向を認めている。現時点では統計的に有意な差にまで至っていないため、N数を増やすことで有意差が認められるかどうか実験を進めているところである。また、恒常活性型Akt基質の視床下部弓状核への過剰発現によって摂餌量や体重に影響を認めるか否かについても測定を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Aktの阻害剤を用いた実験では有意な変化を認めなかったが、他の実験系を用いた既報でもAktを阻害剤で抑制する実験は必ずしも有意な変化を認めていない。Aktにリン酸化されることにより抑制を受ける3種の基質を恒常活性化することでAkt経路を抑制し、インスリン抵抗性の傾向を認めたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
インスリン抵抗性が有意に出現するかどうかを確かめるとともに、3種の恒常活性型Akt基質のうちどの基質がインスリン抵抗性をもたらしているかを調べる方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当年度の実験に必要な試薬および動物を購入した結果、本年度末の時点では30798円の残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度には実験を完遂する予定であり、残額は全て使用する必要がある。
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