研究課題/領域番号 |
15K09400
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小谷 紀子 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50625332)
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研究分担者 |
中江 淳 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (00344573)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | TRAP法 / 膵内分泌細胞遺伝子発現 / 環境変化 / Foxo1CoRepressor |
研究実績の概要 |
生理的条件下で細胞の遺伝子発現を解析する方法として翻訳リボソーム親和精製法(Translating ribosome affinity purification: TRAP法)がある。この方法を用いて、生理的条件下および各種病態下(絶食/摂食、普通食/高脂肪食)における膵内分泌細胞(膵α細胞、β細胞およびδ細胞)の遺伝子発現を網羅的に解析し、最終的には膵内分泌細胞の遺伝子発現アトラスを作製する事を目的とし、研究を行っている。本研究により糖代謝メカニズムの解明および将来的には2型糖尿病の発症予防および治療のための新たな創薬標的分子の発見につなげていきたいと考える。現在、EGFP-L10aトランスジェニックマウス(AcGFP-L10a)をRat insulin promoter-Cre (RIP-Cre)、Glucagon-Cre、Somatostatin-Creの各トランスジェニックマウスと掛け合わせ、膵α細胞、β細胞そしてδ細胞特異的トランスジェニックマウス(αAcGFP-L10a、βAcGFP-L10aおよびδAcGFP-L10a)を作製している。αAcGFP-L10aおよびβAcGFP-L10aについては蛍光免疫染色により各々のマウスでEGFPがグルカゴン陽性細胞、およびインスリン陽性細胞で発現していることを確認した。現在予備実験として、αAcGFP-L10aからは膵島を単離し、EGFP抗体を用いて免疫沈降を行ない、ポリソームRNA結合タンパクからmRNAを精製し、IgGで免疫沈降を行ない、コントロールと比較してαAcGFP-L10aではグルカゴン遺伝子発現が著明に高く、インスリン遺伝子発現は変化ないことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目標を達成するためには十分量の膵島を単りすることが必要であり、そのためには各群40-50匹のトランスジェニックマウスが必要である。当初の予定よりもトランスジェニックマウスの作製に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、各トランスジェニックマウスを作製し、膵島を単離し、翻訳リボソーム親和精製法(TRAP法)を用いて、α細胞、β細胞およびδ細胞の遺伝子発現を網羅的に解析し、膵内分泌細胞の遺伝子発現アトラスを作製する。トランスジェニックマウスを早急に作製し、絶食/摂食、通常食/高脂肪食の各条件下での遺伝子発現変化を解析する。さらに、Foxo1と結合する蛋白として同定したFoxo1CoRepressor(FCoR)が耐糖能異常、インスリン分泌低下、グルカゴン分泌亢進、およびα細胞量の増加を示すことから、Fcorノックアウトマウスと各EGLP-L10aトランスジェニックマウスを掛け合わせ、FCoRをノックアウトする事による単離膵島における遺伝子発現の変化を解析する。
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