研究課題
糖代謝メカニズムの解明および将来的には2型糖尿病の発症予防および治療のための新たな創薬標的分子の発見につなげていく目的で本研究を行った。生理的条件下で膵内分泌細胞の遺伝子発現を解析するために、翻訳リボソーム親和精製法(Translating ribosome affinity purification: TRAP法)を用いて、生理的条件下および各種病態下(絶食/摂食、普通食/高脂肪食)における膵内分泌細胞(膵α細胞、β細胞およびδ細胞)の遺伝子発現を網羅的に解析し、最終的には膵内分泌細胞の遺伝子発現アトラスを作製する事を目標とした。EGFP-L10aトランスジェニックマウス(AcGFP-L10a)をRat insulin promoter-Cre (RIP-Cre)、Glucagon-Creの各トランスジェニックマウスと掛け合わせ、膵α細胞、β細胞特異的トランスジェニックマウス(αAcGFP-L10a、βAcGFP-L10a)を作製した。αAcGFP-L10aおよびβAcGFP-L10aについては蛍光免疫染色によりEGFPが各々グルカゴン陽性細胞およびインスリン陽性細胞で発現している事を確認した。次にαAcGFP-L10a単離膵島を用いて抗EGFP抗体で免疫沈降を行ない、ポリソームRNA結合タンパクからmRNAを精製したところ、コントロール(IgGで免疫沈降)と比較してグルカゴン遺伝子発現が著明に高いことを確認した。しかしながら、マイクロアレイ解析に必要なmRNAを確保することが質的にも量的にも困難であり、今回解析は不可能であった。昨今、SINGLE CELL MICROARRAY解析が可能になり、論文報告が既にある。当該申請研究で用いたTRAP法による膵内分泌細胞の遺伝子発現解析の継続の意義が少ないと考える。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 3件)
Cell Metabolism
巻: 9;24(2) ページ: 295-310
https://doi.org/10.1016/j.cmet.2016.07.009
医学のあゆみ
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