研究実績の概要 |
平成28年度は,本研究で開発している脂質の網羅的解析法(リピドミクス法)によって検出できる脂質分子の種類を増加させ,定量的な分析法として発展させることを目的として実験を行った.液体クロマトグラフィー-イオントラップ飛行時間型質量分析法(LC-IT-TOF-MS)によるリピドミクスの従来法では,検出している脂質分子の種類は5~7種であり,目的によっては分析法として有用である.一方,代表的な脂質分子の種類をカバーできている訳ではなく,特に生体試料を分析対象として取り扱うためには,検出可能な脂質分子の種類を増加させる必要がある.そこで本研究では,脂質の機能や分析に関する過去の報告,定量のための内標準物質の標品の入手のし易さなどを考慮し,19種類の脂質分子を選択した.具体的には,リゾホスファチジン酸(17:0),リゾホスファチジルコリン(17:0), リゾホスファチジルエタノールアミン(17:1), リゾホスファチジルグリセロール(17:1), リゾホスファチジルイノシトール(17:1), リゾホスファチジルセリン(17:1), ホスファチジン酸(17:0/17:0), ホスファチジルコリン(17:0/17:0), ホスファチジルエタノールアミン(17:0/17:0), ホスファチジルグリセロール(17:0/17:0), リゾホスファチジルイノシトール(16:0/16:0), ホスファチジルセリン(17:0/17:0), スフィンゴミエリン(d 18:1/12:0), セラミド(18:1/17:0), へキソセラミド(18:1/17:0), コレステロール-d6, コレステロールエステル(20:0), ジアシルグリセロール(17:0/0:0/17:0), トリアシルグリセロール(17:0/17:0/17:0)を内標準物質として選定し,LC-IT-TOF-MSによる検出条件を詳細に検討したところ,全ての物質のイオン化パターンを特定し,ピークを検出することができた.
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