研究課題/領域番号 |
15K09402
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
花房 俊昭 大阪医科大学, 名誉教授 (60164886)
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研究分担者 |
佐野 寛行 大阪医科大学, 医学部, 助教 (20556435)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 劇症1型糖尿病 / Seromic analysis / 抗CD300e抗体 |
研究実績の概要 |
私共は劇症1型糖尿病の特異的診断マーカーの作成を目的とし、3名の劇症1型糖尿病患者血清 (急性期と亜急性期)を用いて約9000種類以上のSeromic analysisを行い、急性期血清において上昇を認めた9つの抗体を明らかにした。この9つの抗体から、抗CD300e抗体(特許申請中)と抗LGALS3抗体の2つの抗体に着目した。各抗体価測定用ELISAキットを作成し、劇症1型糖尿病患者の急性期30名、亜急性期30名、慢性期14名、自己免疫性1型糖尿病患者30名、2型糖尿病患者30名、自己免疫性甲状腺疾患患者20名、健常者31名を対象とし、抗体価の測定をし終えた。その結果、抗300e抗体価は劇症1型糖尿病急性期において、劇症1型糖尿病慢性期、他の疾患、健常者と比較して有意に高値を示した。また、同一患者において、劇症1型糖尿病急性期の抗CD300e抗体価は、亜急性期と比較して有意に高値を示した。抗LGALS3抗体価は、自己免疫性1型糖尿病患者において、2型糖尿病、自己免疫性甲状腺疾患、健常者と比較して有意に高値を示した。
本年度、ELISA法にて測定した抗CD300e抗体価の特異性検討をおこなった。 CD300e遺伝子をトランスフェクションしたHEK293細胞(CD300e+ HEK293細胞)を、劇症1型糖尿病患者急性期および健常者の血清、PE-IgG(2次抗体)と反応させた後、フローサイトメトリーによりPE-CD300e+ HEK293細胞数の測定をおこなった。その結果、劇症1型糖尿病患者急性期の血清と反応させたCD300e+ HEK293細胞において、健常者血清を用いたものより多くのPE-CD300e+ HEK293細胞を確認できた。これらの事実から、ELISA法により測定した抗CD300e抗体価の特異性を証明することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ELISA法にて測定した抗CD300e抗体価の特異性検討に関して、ウエスタンブロット法による確認が困難であり、上記の研究実績の概要に示した通りフローサイトメトリーによる特異性の検討をおこなったため、少し時間を要したが、当研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
1) ウイルス感染患者(インフルエンザ患者)、他の自己免疫性疾患(関節リウマチ) 患者の血清中抗CD300e抗体をELISA法にて測定する。蛋白CD300eはマクロファージの遊走能やアポトーシス、自己反応性のTリンパ球の免疫応答に関与することが明らかになっている。従って、現在までの結果で認められた劇症1型糖尿病患者急性期の血清中抗CD300e抗体価の上昇が、劇症1型糖尿病に特異的なものか否かを確認するために、上記の検討をおこなう。 2) 劇症1型糖尿病患者剖検膵組織での抗原蛋白CD300e発現の検討 3) 抗CD300e抗体/抗原蛋白CD300eの機能解析 を当初の計画通り遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算の見積もりに若干の誤差が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の予算に加算して、研究の進捗に応じて使用する。
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