研究課題
本研究では、臓器特異的自己免疫疾患である1型糖尿病における根本的な2つの疑問、「なぜ自己の細胞が攻撃されるのか?」と「なぜ膵β細胞だけが標的となるのか」を分子レベル解明し、1型糖尿病の予知・予防・治療法の構築に資する基盤情報を得ることを目的として解析を進めた。「なぜ膵β細胞だけが標的となるのか」を解明するため、標的臓器の異なる自己免疫疾患として、1型糖尿病(標的臓器は膵β細胞)、自己免疫性甲状腺疾患(甲状腺)、円形脱毛症(毛包)を対象に相互関係とそれに関与する遺伝因子を解析した結果、HLAのクラスⅡハプロタイプが臓器特異性を規定し、DRB1*04:05-DQB1*04:01が膵β細胞、DRB1*08:03-DQB1*06:01が甲状腺、DRB1*15:01-DQB1*06:02が毛包へのターゲティングを規定することを見いだし、報告した。一方、「なぜ自己の細胞が攻撃されるのか?」に関しては、最近のチェックポイント阻害薬治療にともなう様々な臓器に対する自己免疫疾患の発症からPD1パスウェイの関与が示唆されるが、1型糖尿病において免疫担当細胞におけるPD1の発現が低下していることを見いだし、報告した。
3: やや遅れている
遺伝子改変動物の育種は進んでいるが、コントロールラインの発症率が低いことから表現型の比較解析がいまだ十分ではないため。
モデル動物における遺伝子改変動物の育種を継続しながら、先行しているヒトにおける解析をさらに推進する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Diabetology Int
巻: なし
10.1007/s13340-015-0247-6
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