研究課題
1型糖尿病における2つの根源的課題「なぜ自己の細胞が破壊されるのか?」と「なぜ膵β細胞だけが標的となるのか?」の両者を視野におき、両者に共通して関与する遺伝子・分子・メカニズムを同定・解析することを目的に研究を進めた。標的臓器の異なる自己免疫疾患それぞれにおいて他臓器に対する自己免疫の有無を詳細に解析した結果、膵β細胞自己免疫(1型糖尿病)と甲状腺自己免疫、甲状腺自己免疫と毛包自己免疫(円形脱毛症)がそれぞれ相互に合併するのに対し、膵β細胞自己免疫と毛包自己免疫の合併は極めて稀であることが明らかとなった。これらの合併、非合併に関与する遺伝的基盤を解析した結果、HLAハプロタイプが各疾患の臓器特異性に大きく関与することが明らかとなった。具体的にはDR4が膵β細胞、DR8が甲状腺、DR2が毛包の特異性に関与するHLAとして同定された。HLAは免疫応答のマスターレギュレーターであるとともに、抗原結合ポケットの構造を介して抗原特異性にも関与することから、自己免疫と臓器特異性の両者に関与する重要な遺伝子であり、特にDR4 (DRB1*04:05-DQB1*04:01) は膵β細胞特異的自己免疫に関与する標的分子として、予知・予防・治療における重要な鍵分子となることが示された。HLA以外の遺伝子に関しては、甲状腺特異的な遺伝子としてCTLA4とTSHRが同定された。円形脱毛症との関連が報告されている遺伝子群は毛包特異性には関与せず、自己免疫全般に関与する可能性が示された。自己免疫と膵β細胞特異性の両者に関与する候補遺伝子であるMAFAを1型糖尿病モデルNODマウスでノックアウトした系統では発症が予想に反して抑制されること、そのメカニズムとして、膵β細胞特異的な調節性T細胞が増加し、ラ氏島炎部位に集積することが一因である可能性が示された。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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