研究課題
メタボリックシンドロームや糖尿病などの代謝疾患は、内臓脂肪の蓄積とこれに伴うインスリン抵抗性が病態の根本にある。メタボリックシンドロームや糖尿病の増加は、遺伝因子としてゲノムDNAの変異とともに、環境因子が一因と考えられ、環境因子と関連するエピゲノムの重要性が考えられている。エピゲノム制御に関して、安定なゲノム修飾であるDNAのメチル化と、比較的動的なヒストン修飾の組み合わせが重要と考えられている。研究代表者は、ヒト脂肪組織のmRNAの網羅的検討により、内臓脂肪において皮下脂肪と比較してDNAメチル化や発現が有意に異なるエピゲノム変化を見出した。脂肪組織において、ゲノムワイドにDNAのメチル化の状態やmRNAの発現量や、ゲノムDNAの変異を調べ、糖尿病・メタボリックシンドロームにおけるゲノム・エピゲノム制御を統合的に解析した。重度の表現型を伴うゲノムDNAにおける変化については、そのゲノムDNAの変化に伴う蛋白の機能や立体構造の変化について解析した。ゲノム制御に関して、遺伝子のアミノ酸が変異することにより、糖尿病などの疾患の発症を促進し、アミノ酸変異の位置や種類が、疾患の重症度に関与することを明らかにした。DNAのメチル化による遺伝子発現の変化について網羅的に検討し、組織により特徴的なエピゲノム変化について明らかにした。この組織や表現型と関連したエピゲノム変化について、メタボリックシンドロームなどの病態へ関与する可能性が示唆された。
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