研究課題/領域番号 |
15K09411
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
佐野 秀人 浜松医科大学, 医学部, 助教 (80623842)
|
研究分担者 |
浦野 哲盟 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50193967)
鈴木 優子 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (20345812)
田中 宏樹 浜松医科大学, 医学部, 助教 (50456563)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | PAI-1 / iPS細胞 / 脂肪細胞 / 内皮細胞 / 細胞分化 / 細胞内代謝 |
研究実績の概要 |
白色、褐色脂肪細胞分化を行うにあたり、フィーダーフリーのiPS細胞から胚様体(Embryoid Bodies: EB)を形成する必要があるため、フィーダーフリー患者由来iPS細胞の凍結・継代の方法を確立した。脂肪細胞分化については、これまでNishioらの方法 (Cell Metabolism 2012, Methods in Enzymology 2014) を試みてきたが、2016年HafnerらがScientific Reportsに変法を報告し、こちらも試している。より分化効率の良い系の確立を行っていく。また、既に確立したiPS細胞由来内皮細胞において、マイクロアレイにて遺伝子発現を解析したところ、PAI-1欠損細胞においてATP合成系あるいはミトコンドリアにおける代謝に関連した遺伝子発現変動を観察した。脂肪細胞においてもPAI-1によるエネルギー代謝の制御が行われている可能性を示唆した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の方針として、iPS細胞から分化させた脂肪細胞を用いて解析を行うことを予定していた。脂肪細胞の分化効率向上探索のため、数種類の方法にて分化誘導の条件検討を行っている。iPS細胞より分化させた内皮細胞は、脂肪細胞と同様の中胚葉系細胞由来であり、内皮細胞の解析によりPAI-1欠損患者由来において、代謝系遺伝子の変化が見られたことから脂肪細胞においても興味深い結果が予想され、脂肪細胞に分化させた細胞についての遺伝子解析を進行中である。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の方針として、効率の良い白色・褐色脂肪細胞それぞれの分化を行い、機能発現解析及び遺伝子発現解析を行う。内皮細胞との共培養を行い、遺伝子発現の変化、細胞動態の確認、その他in vitroでの解析を行う。さらに、ベージュ脂肪細胞の分化を確立させ、それぞれの脂肪細胞間の比較を行う。また、in vivoの解析を行うため、iPS細胞由来細胞のマウスへの生着の確認を行っていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度予定していたiPS細胞から脂肪細胞分化の詳細な条件検討を行っており、この部分に多くの時間を費やした。計画では脂肪細胞の遺伝子発現解析を行う予定で予算を組んでいたが、分化効率があまり良くないため、分化効率の改善を優先した。脂肪細胞より先に確立していた内皮細胞において別予算で遺伝子発現解析を行った。内皮細胞で興味深い結果が示唆されたことから、早急に脂肪細胞においても検討を行う。
|
次年度使用額の使用計画 |
分化させた白色・褐色さらにはベージュ脂肪細胞の遺伝子発現解析を行う。RNAの分離、マイクロアレイ、real-time RT-PCR等の試薬代に用いる計画である。
|