研究課題/領域番号 |
15K09412
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西澤 均 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20379259)
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研究分担者 |
船橋 徹 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (60243234) [辞退]
前田 法一 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (30506308)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | メタボリックシンドローム / 代謝異常 / アミノ酸 / トランスポーター |
研究実績の概要 |
平成28年度の研究において、 1)マウス肥満脂肪組織において、TCAサイクル代謝物およびグルタミン酸生合成が亢進していることをメタボローム代謝動態解析の系を構築して示し、細胞内グルタミン酸増加が脂肪細胞のインスリン感受性の低下やアディポネクチン分泌低下といった脂肪細胞機能異常と関連している可能性を示した。上記データがJ. Biol.Chem.誌に受理され刊行された。 2)連携協力者である永森收志先生との共同研究による膜分画蛋白の質量分析技術を用いて、コリントランスポーターの一種が肥満モデルマウス(ob/obマウスおよび食餌誘導性肥満マウス)の脂肪組織において、コントロールマウスに比べ蛋白発現が著増していることを見出した。そしてそのトランスポーターの特異的抗体を用いて、ウェスタンブロットによりマウス肥満脂肪組織で著増していることを確認した。そして細胞への一過性過剰発現系を構築し、当該コリントランスポーターの一過性過剰発現でコリン代謝物の細胞内外輸送が亢進することを確認した。 3)当院消化器外科との共同研究で得た大腸手術症例4例より内臓脂肪組織、皮下脂肪組織の組織培養を行い、ヒト脂肪組織から分泌される主要なプリン代謝物がヒポキサンチンであることを見出した。またXOR酵素活性はヒト脂肪細胞では限定的で、肥満を模倣する低酸素刺激によりヒポキサンチンの分泌が著増することも明らかにした。この発見を2017年5月の日本糖尿病学会学術集会においてポスター発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度交付申請書に記載した平成27年度の研究実施計画のうち、マウス肥満脂肪組織における代謝変化については、論文発表を行うことができた。またヒト脂肪組織におけるプリン代謝の検討については、論文にまとめるデータがそろいつつあり、最終年度の来年度中に論文投稿を行う予定である。また肥満脂肪組織でのトランスポーター解析では、肥満で著増するコリントランスポーターを見出し、新たな展開を迎えている。最終年度にブレークスルーとなるデータの取得を目指している。
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今後の研究の推進方策 |
1)現在、当該コリントランスポーターを過剰発現するウイルスベクターを作製しており、脂肪細胞に恒常的に過剰発現させ、その表現型を解析する予定である。そしてメタボロームスナップショット解析を用いて、肥満脂肪組織のコリン代謝物の量的変化を解析すべく準備中である。今後遺伝子改変マウスの作製にも着手することを検討中である。 2)現在、ヒト脂肪細胞への低酸素刺激による代謝物、特にTCAおよびペントースリン酸経路およびプリン体生合成経路に絞って解析中で、それらと合わせ来年度中に論文投稿を行う予定である。
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