研究課題
平成29年度、以下の研究を行った。1)当院消化器外科と共同研究で、ヒト脂肪組織でのプリン代謝を検討した。マウス(Tsushima Y, Nishizawa H, J.Biol.Chem.2013)に比して、ヒト脂肪組織においては尿酸産生酵素であるXORの発現が限定的で、それを反映して、尿酸の産生分泌は少なく、多くはヒポキサンチンの形で分泌されることを明らかにした。肥満状態を模倣する目的で、ヒト脂肪細胞を低酸素に暴露したところ、ペントースリン酸経路が活性化し、その結果ヒポキサンチンの合成が亢進する可能性をメタボローム解析によって明らかにし、論文投稿した。追加実験を行い、2018年4月2日Obesity誌に受理された。2)昨年度までの検討で、連携協力者である永森收志先生との共同研究による膜分画蛋白の質量分析技術を用いて、コリントランスポーターの一種が肥満モデルマウス(ob/obマウスおよび食餌誘導性肥満マウス)の脂肪組織において、コントロールマウスに比べ蛋白発現が著増していることを見出した。本年度は、その分子の脂肪組織特異的欠損マウスの樹立を行った。ゲノム遺伝子のPCRそして欠損マウスの当該遺伝子発現の組織分布を調べ、脂肪組織特異的に欠損できていることを確認した。またアデノウイルスを用いてマウス脂肪細胞の過剰発現を行ったところ、細胞内のコリン濃度が上昇し、ERストレス関連の遺伝子群やアディポネクチンおよびPPARgの遺伝子発現に有意な変化をもたらすことを見出した。今後遺伝子改変動物を用いて検証していく予定である。
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Intern Med.
巻: 56 ページ: 1071-1077
10.2169/internalmedicine.56.7923.