研究課題/領域番号 |
15K09413
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
宮田 佑吾 東京工業大学, バイオ研究基盤支援総合センター, 研究員 (70623453)
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研究分担者 |
大月 道夫 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00403056)
福原 淳範 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00437328)
下村 伊一郎 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60346145)
小林 祥子 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員 (80649111)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 内臓脂肪 |
研究実績の概要 |
臨床的・疫学的に,内臓脂肪の蓄積・機能異常がメタボリックシンドロームの発症基盤である。しかし内臓脂肪蓄積による機能異常を科学的・実験的に究明する手法が確立されていない。 また最近では、内臓脂肪細胞と皮下脂肪細胞の細胞起源が異なっていることも示されており、各脂肪細胞の機能の違いを、細胞レベルで解明する機運が高まっている。そこで、申請者らは内臓脂肪組織および皮下脂肪組織からin vitro培養下にて高効率で分化する前駆脂肪細胞集団、in vitro mesenteric adipogenic cellおよびin vitro subcutaneous adipogenic cellを同定し、検討を続けてきた。 in vivoでの移植実験の結果、皮下脂肪組織由来のin vitro subcutaneous adipogenic cellは内臓脂肪に移植しても分化するが、内臓脂肪組織由来のin vitro mesenteric adipogenic cellは皮下に移植しても分化しなかった。後者においては、PPARgアゴニストであるピオグリタゾンを前投与したマウスの皮下に移植してもほとんど分化しなかった。したがって、各in vitro adipogenic cellの分化メカニズムが異なっていることが示された。 次に、内臓脂肪細胞特異的分化メカニズムを分子生物学的に解明するため、上記in vivoでの実験系を、in vitroで再現することを試みた。いくつかの組み合わせを検討したところ、共培養系を用いることでin vivoでのデータを再現できた。各in vitro adipogenic cellと各脂肪組織を共培養することで、内臓脂肪組織由来のin vitro mesenteric adipogenic cellが特異的に分化する条件を見出した。 つまり、本実験系を用いることで、内臓脂肪細胞における特異的な分化メカニズムを、分子生物学的に解析することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、各in vitro adipogenic cellの機能の違いをin vitroで解析できる実験系の構築に成功しており、本研究課題はおおむね順調に進展している。 共培養系を用いることによって、PPARgアゴニストであるピオグリタゾンを使用しない場合でも、各in vitro adipogenic cellに分化をさせることができる。現在、他の因子に関して内臓脂肪の分化を促進する因子を検討しており、おおむね滞りなく研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、共培養系を用いることでin vivoのデータを再現できている。この実験系を用いて、内臓脂肪組織由来の分化促進因子を同定することを目指す。そこでまず、共培養系の簡便化を目指す。現在の実験系では脂肪組織との共培養であり、実験系の制約が大きい。そこで、脂肪組織の培養上清を添加することで同様の実験系を再現できるかを検討する。その後、脂肪組織の培養上清を様々な方法で分画することで、分化促進因子の同定を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
他大学への異動もあり、また実験系を一から立ち上げるのに時間がかかってしまったため、当初の予定よりも使用金額が少なくなってしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
現在は完全に実験系が立ち上がっており、また以前よりスムーズに実験が行える環境が整っているので、昨年進まなかった分も含めて、当初の申請金額の総額を使用する予定である。
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