肥満症や2型糖尿病患者では腸内細菌叢に偏りが認められ、腸管内の短鎖脂肪酸や胆汁酸代謝の変化、腸管バリア機能の低下などが生じていると報告されている。さらにこれらの変化が、腸管ホルモン分泌の低下や高エンドトキシン血症による慢性炎症を引き起こし、宿主の耐糖能異常・肥満の原因となっていると考えられている。そこで我々は、エネルギー糖代謝異常症の治療に用いられている、腸管ホルモン製剤のこれらの因子への影響を検討したところ、同製剤は腸内細菌叢と腸管免疫細胞に作用し、エネルギー糖代謝異常症の改善に寄与している可能性が見いだされた。本所見は新たな肥満糖尿病の治療戦略の開発に繋がるものと考えられた。
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