研究課題
我々はこれまで、レチノイドの抗動脈硬化作用、血管内皮保護作用や血管新生促進作用を明らかにしてきた。しかしながら、レチノイドが副腎アルドステロン合成酵素(CYP11B2)発現・アルドステロン分泌に及ぼす影響は未だ不明である。今回我々は、レチノイドX受容体(RXR)アゴニストであるPA024を用いて、以下の検討を行った。種々の濃度のPA024をヒト副腎皮質癌由来H295R細胞に添加した後に、CYP11B2 mRNA発現は定量PCRにて、CYP11B2プロモーター活性はルシフェラーゼアッセイにて、アルドステロン分泌はEIAにて、細胞内Ca2+濃度はCalcium Kit-Fluo 4にて、それぞれ解析した。興味深いことに、PA024はアンジオテンシンII誘導性のCYP11B2 mRNA発現、CYP11B2プロモーター活性、ならびにアルドステロン分泌を抑制した。Deletion mutantsを用いた解析では、-1521(全長)から-135の領域にかけてPA024による転写抑制が認められた。また、PA024投与により、転写因子NGFIBおよびNurr1のmRNA発現低下も認められた。一方で、PA024は細胞内Ca2+濃度や細胞増殖能には影響を及ぼさなかった。本研究から、RXRアゴニストPA024が、アルドステロン合成・分泌抑制をターゲットとした新規降圧・抗動脈硬化薬たり得る可能性が示唆された。
1: 当初の計画以上に進展している
当初の予定より進捗しており、本プロジェクトは順調に進捗している。
今後は以下の実験を予定している。1)RXRのsiRNAを投与することにより、PA024のアンジオテンシンII誘導性のCYP11B2発現抑制作用が減弱するか否かを検討する。2)転写因子NGFIBおよびNurr1を過剰発現させることにより、、PA024のアンジオテンシンII誘導性のCYP11B2発現抑制作用がレスキューされるか否かを検討する。3)つくば高血圧マウスにPA024を投与することにより、高血圧が改善されるか否かを検討する。
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PLoS One
巻: 10 ページ: e0141960
10.1371/journal.pone.0141960.
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/health/84/index.html
http://www.med.tohoku.ac.jp/english/org/health/84/index.html