研究課題/領域番号 |
15K09423
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田中 都 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (60622793)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 肥満 / 脂肪組織線維化 / マクロファージ / 異所性脂肪 / 病原体センサー |
研究実績の概要 |
病原体センサーMincleを介する細胞間クロストークと脂肪組織線維化の分子機構の解明を目的として,本年度,以下の検討を行った。 1.Mincle活性化に関わる内因性リガンドの探索 我々は,食餌誘導性肥満マウスにおいて脂肪組織の線維化が誘導された結果,脂肪組織における脂肪蓄積能が制限され,異所性脂肪蓄積が促進されることを報告している。一方,食餌誘導性肥満マウスは作製に少なくとも数ヶ月の期間を有するため,内因性リガンド探索に供する脂肪組織サンプルをより短期間で得るために,新規の脂肪組織線維化モデルを試みている。その結果,脂肪組織において虚血-再灌流障害を起こすと,肥満脂肪組織に類似した脂肪組織線維化,Crown-like structureの形成,Mincleの発現上昇が認められることを見出した。本年度は,条件を詳細に検討し,一定の条件を確立し,再現性のよい実験結果が得られるようになった。今後,本サンプルを用いて内因性リガンド探索に取り組む。 2.脂肪組織線維化と脂肪組織機能障害の分子機構 我々は,肥満脂肪組織にαSMA陽性の活性化線維芽細胞が存在することを報告している。一方,脂肪組織における線維芽細胞の由来や性質は全く知られていない。そこで,本年度は,コラーゲンプロモーター下でGFPを発現するCol1a2-EGFP Tgマウスに肥満を誘導し,活性化線維芽細胞を検討したところ,GFP陽性細胞は確かに存在し,PDGFRa陽性であることを見出した。また,肥満を誘導しないマウスにおいてもGFP陽性細胞は存在していた。今後,これらの細胞の性質を比較・検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度の途中に職場(大学)の移動があったが,動物実験の短期モデル,長期モデルをタイミング良く組み合わせることで,当初懸念されていた実験期間のブランクを最小限にすることができた。新職場には旧職場で使用していた機器と同等の機器類があり,特に,脂肪組織線維芽細胞の分取などは,かなり順調に進んだ。動物実験施設も充実しており,短期モデルの作製も順調に進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の進捗を生かし,病原体センサーMincleを介する細胞間クロストークと脂肪組織線維化の分子機構の解明を引き続き検討する。特に,Mincle内因性リガンドの探索に精力的に取り組みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度中に異動があり,新職場でのセットアップに集中し,一時的に研究が中断することがあったこと,旅費の補助が出る学会に参加したことなどより,計画よりも使用額が少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
他施設や海外からのマウス移送など(購入費,施設搬入のクリーニング費含む)の実験動物費に,計画当初より大幅に経費がかかるため,当該年度に生じた次年度使用額を充てる予定である。
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