研究課題
病原体センサーMincleを介する細胞間クロストークと脂肪組織線維化の分子機構の解明を目的として,本年度,以下の検討を行った。1.Mincle活性化に関わる内因性リガンドの探索これまでの検討で,Mincle発現細胞は,炎症促進型のM1型,線維化を含む組織修復に関わるM2型の両者の性質を持ち合わせると考えられる。その性質を検討するため,マクロファージ融合能を検討したところ,野生型マクロファージに比較して,Mincle欠損マクロファージでは,マクロファージ融合能が低下している可能性を見出した。肥満の脂肪組織におけるCLS(Crown-Like Structure)形成は,Mincle欠損マウスで減弱するため,CLS形成にマクロファージ融合能が重要であることが示唆された。今後,どのような分子が重要であるか明らかにし,脂肪組織炎症・線維化の分子機構解明に繋げたい。2.脂肪組織線維化と脂肪組織機能障害の分子機構肥満に伴う脂肪組織線維化は,内臓脂肪に特徴的である。そこで,肥満マウスの内臓脂肪の線維芽細胞と皮下脂肪の線維芽細胞を比較,検討する目的で,それぞれの組織からPDGFRα陽性細胞を単離し,検討に用いた。その結果,線維化した脂肪組織で増加するとされているPDGFRα陽性CD9陽性細胞(Cell Metab. 2017 Mar 7;25(3):673-685.)が,皮下脂肪に比較して内臓脂肪で顕著に多いことを見出した。さらに,肥満マウスの内臓脂肪由来PDGFRα陽性細胞は,皮下脂肪由来PDGFRα陽性細胞に比較して脂肪細胞分化能が極度に低下していることが明らかとなった。
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