研究課題
腎臓で増加するマクロファージの起源は、骨髄単球に由来するLy6chigh単球に由来するものと腎臓内に存在するresidentマクロファージに由来するものがある。UUOによって腎尿細管間質の線維化が誘導された際に腎臓内にリクルートされるLy6chigh単球はLy6chighマクロファージ(M1:組織障害性マクロファージ)とLy6clowマクロファージ(M2マクロファージ)に分化する能力を有している。Ly6clowマクロファージはM1サイトカインの発現が低値であり、線維化・組織再生に関与するサイトカインのCcl、Pdgf、Igf1、arginaseを高容量発現しalternative activatedの状態であり、組織修復作用を有していることが知られている(2)。予備実験の段階において我々はフローサイトメトリーで、F4/80, CD11b,Ly6cの表面抗原の発現を UUO後に経時的に観察したところ、TRαKOマウスでは腎障害早期にM1マクロファージが野生型マウスと比較して高容量発現し、腎障害後期においても高容量の発現が見られていた。野生型マウスでは腎障害後期においてM2マクロファージの発現の増加が見られるが、TRαKOマウスでは M2マクロファージが低値のままであり、これがTRαKOマウスにおいて腎障害が高度に見られる機序として考えられた。今後はセルソータ―を用いて、UUO腎臓からF4/80, CD11b,Ly6c等の種々の表面抗原特異抗体を用いてマクロファージのソーティングを行い、RNAを抽出しcDNAを作成し、マイクロアレイ等の解析を用いてM2マクロファージの分化におけるTRの作用について検討している。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通りの進捗状況で基礎実験が終了し学術論文作成して投稿準備中である。経過中海外学術集会において発表を行っている。
海外学術誌に投稿を行う。基礎研究のデータを再解析し、慢性腎臓病の悪化因子の一つである慢性炎症の抑制作用の検討をさらに行うことで 新たな治療法の開発に向けての方策を検討していく。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Sci. Rep.
巻: 12 ページ: 9046
10.1038
Glia
巻: 63 ページ: 906-920
10.1002