慢性腎臓病モデルとしての片側尿管結紮(UUO)モデルでは、早期には炎症性単球が腎臓にリクルートされ、炎症性(M1)マクロファージとして組織障害を進め、M2マクロファージが増加し、炎症を収束させるとともに線維化を進める。 抗甲状腺剤を用いて作成した甲状腺機能低下マウスではUUOにより、コントロールマウスと比較して腎障害と間質の線維化が顕著であり、炎症性マクロファージの増加が見られた。そこで、放射線照射後の野生型マウスに甲状腺ホルモン受容体(TR)α欠損マウス骨髄を移植しTRα欠損骨髄キメラマウス(BMTRαKOマウス)を作成し、骨髄由来マクロファージに発現する内因性TRと甲状腺ホルモンの、腎障害時におけるマクロファージの極性変化と腎組織リモデリングにおける作用について検討した。 UUO下のBMTRαKOマウス腎臓では、組織障害性マクロファージが、コントロールマウス腎臓と比較してUUO3日から14日まで遷延して集積し、セルソーターにより抽出解析すると炎症性サイトカイン(IL1β、TNFα)の発現の増加が見られた。骨髄由来マクロファージは甲状腺ホルモン除去血清で培養するとリン酸化IκBαが増加し、NF-κB/p65が核内に移行しNF-κB経路が活性化され、T3添加によりMAPK脱リン酸化酵素(MKP1)の発現が増加し、リン酸化IκBαの低下と核内NF-κB/p65は減少した。TRαKOマクロファージでは、MKP1の発現が減弱しており、恒常的に核内NF-κB/p65の発現が見られた。 マクロファージに発現する内因性TRαは、NF-κB/p65の核内移行を阻害することで炎症性サイトカインの産生を抑制しているが、TRαの欠損により核内NF-κB/p65が増加し、炎症性サイトカインが産生され、放出されたIL1βは腎障害の増悪に作用していると考えられた。
|