GABAB受容体遺伝子特異的なプライマーを用いたPCR法にて、ドーパミンニューロン特異的GABAB受容体ノックアウトマウスでは腹側被蓋野において、線条体ニューロン特異的GABAB受容体ノックアウトマウスでは線条体において特異的loxP配列の組み換えが生じていることを確認した。またノックアウトマウスと野生型マウスから腹側被蓋野あるいは線条体を含む脳切片を作成し、GABAB受容体の発現をノックアウトマウスと野生型マウスで組織学的手法により比較検討し、腹側被蓋野あるいは線条体特異的にGABAB受容体が欠損していることについても確認した。 高脂肪食を野生型マウスおよびGABAB受容体ノックアウトマウスのホモ接合型に離乳時の3週齢より13週間投与したが、野生型マウスとGABAB受容体ノックアウトマウスに有意な体重差は認めなかった。また16週齢での内臓脂肪重量および血糖値においても両群間で有意な差を認めなかった。一方、GABAB受容体ノックアウトマウスのホモ接合型に高脂肪食の間欠投与を行い野生型マウスと比較したところ、雌雄ともに線条体ニューロン特異的GABAB受容体ノックアウトマウスにおいて2時間における高脂肪食の摂取量が有意に増加した。一方、ドーパミンニューロン特異的GABAB受容体ノックアウトマウスにおいては有意な増加を認めなかった。 雄の野生型マウスにおいて、高脂肪食の間欠投与開始30分前にバクロフェン3mg/kg体重を腹腔内投与したところ、高脂肪食摂取量が有意に減少し、普通食摂取量には影響を与えなかった。雌の野生型マウスにおいても同様の結果を認めた。一方、ドーパミンニューロンあるいは線条体ニューロン特異的GABAB受容体ノックアウトマウスにおいて同様の検討を行ったところバクロフェンによる効果は消失した。雌のノックアウトマウスにおいても同様の結果を認めた。
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