研究課題
申請者らはこれまでに生理活性ペプチドであるニューロメジンU(NMU)やニューロメジンS(NMS)の単独遺伝子改変マウスを解析することで、NMUやNMSがエネルギー代謝亢進や炎症を引き起こすことを報告してきた。本研究課題では、NMUシステムのさらなる生理機能の解析として、炎症が関わる肥満関連疾患や神経疾患、ならびに脳内高次機能に着目して研究を行った。その結果、肥満および代謝異常に関連する病態の1つであるNASHモデルマウスの肝臓においてNMUの発現が亢進していることを発見した。また、肝臓にてNMUを発現させたマウスではNASH病態に伴う炎症反応が増強し、病態を増悪させていることが明らかとなった(Teranishi H et al. Peptides, 2018)。一方、中枢神経における炎症モデルである実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)モデルにおけるNMUシステムの関与に関しては現在、実験を遂行中である。また、NMUシステムの脳内高次機能への関与に関しても現在、実験を遂行中であるが、NMU/NMS両遺伝子欠損マウス(NMU/NMS double KO)を用いた一連の行動解析にて、Open field testでは、NMU/NMS double KOマウス群にて総活動量の低下やストレス時に誘発される常同行動の有意な低下が認められた。さらに、恐怖条件付け試験においては、NMU/NMS double KOマウス群において文脈記憶(Context)ならびに音に対する条件付け(Cue)に対するFreezingの割合が有意に増加していることが判明した。以上より、NMUシステムの「ストレス反応や認知機能への関与が示唆され、現在、詳細な分子メカニズムを解析中である。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件)
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