研究課題/領域番号 |
15K09428
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
園山 拓洋 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70582112)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 視床下部 / ステロイド / レプチン / レプチン抵抗性 |
研究実績の概要 |
今年度は、高脂肪食負荷マウスの視床下部神経核における遺伝子発現の再確認と、セルラインを用いたin vitroの実験を主として行った。 高脂肪食(60% fat)、または通常食を3日間、2週間、6週間、16週間負荷し、視床下部弓状核を摘出、qPCRにてHsd11b1の遺伝子発現を確認したところ、RNA-Seqでのデータと同様に、高脂肪食負荷群での発現上昇が見られ、RNA-Seqのデータが確認された。なお、Hsd11b1と反対の作用を有するHsd11b2の発現は弓状核ではわずかであったものの、高脂肪食3日または2週間負荷マウスで、それぞれ通常食負荷群に比較して上昇する傾向を示した。 また、視床下部培養細胞を使用して、in vitroでHsd11b1のレプチン感受性に対する作用の検討を試みた。この目的のため、まずレプチン添加を行った際の培養細胞のSTAT3のリン酸化をウエスタンブロットで確認した。最初に、マウス視床下部不死化培養細胞であるmHypo-N41を試みたが、レプチンを添加した際のSTAT3のリン酸化は見られなかった。次に、同じくマウス由来細胞であるGT1-7を使用したが、同様にレプチン添加時のSTAT3のリン酸化は見られなかった。GT1-7細胞ではレプチン受容体の発現が低いことがqPCRにて明らかになったため、GT1-7にレプチン受容体を過剰発現させてレプチンを添加したところ、STAT3のリン酸化が確認された。そこで、GT1-7細胞にレプチン受容体を過剰発現させたのちにHsd11b1を過剰発現させたところ、レプチン添加時のSTAT3のリン酸化が減弱した。 上記の結果は、高脂肪食によって誘導されるHsd11b1が、レプチン抵抗性の惹起を介して食餌誘導性肥満の発症に関与する可能性を示している。 なお、Hsd11b1過剰発現トランスジェニックマウスに関しては現在作成計画中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に計画していたトランスジェニックマウスに関してはまだ作成には至っていないが、平成29年度に予定されていたin vitroの実験を本年度に行うことができた。このため、概ね順調であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
計画書通り、Hsd11b1トランスジェニックマウス、Hsd11b1臓器特異的ノックアウトマウスの作成を計画するとともに、in vitroにおいて証明されたHsb11b1のレプチン抵抗性への寄与のメカニズムを、主として培養細胞を用いて行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は動物実験が計画よりも少なかった分、動物実験の施設利用費に充てる予定であった、その他、の使用金額が少なく、また、動物実験補助に充てる予定であった人件費も不要であった。このため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
主として動物実験施設利用費と動物実験補助に対する人件費などに充てる予定。
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