研究課題
Cushing病の原因として近年USP8体細胞変異が同定されたが、その特徴としてミクロ腺腫であることが示されている。一方Cushing病における予後不良因子はマクロ腺腫や浸潤性の高い腫瘍であるが、その分子機序は明らかでない。我々はこの分子機序を明らかにするため近年腫瘍浸潤性、増殖に関連することが明らかになってきているlong non coding RNA (lncRNA)に着目して以下の実験を行った。Cushing病術後7検体を用い、海面静脈洞浸潤の指標であるKnosp分類を用いてgrade0-1とGrade2-4に分けてマイクロアレイ解析を行い5倍以上の違いを認めるlncRNAを選定した。次に16例の術後検体を用い、Realtime PCR法でその妥当性を検証したところColoRectal Neoplasm Differently Expressed (CRNDE)をCushing病の浸潤性、増殖性と関連する有意なlncRNAとして同定した。さらに30例のCushing病術後検体でCRNDEとそのCushign病患者の臨床的背景との相関性を検討した。CRNDEはACTH、コルチゾール分泌との相関は認めなかったが、腫瘍サイズ、腫瘍浸潤性の使用であるKnosp分類と相関を認めた。次にCRNDEが他の下垂体腫瘍の増殖性、浸潤性と関連するかを検討するため、非機能性下垂体腺腫、プロラクチノーマ、先端巨大症の術後検体を用いてRealtime PCR法で検討を行ったが、それらの腫瘍では全く関連性を認めず、Cushing病特異的な現象であることを確認した。LncRNAは核内では転写調節を、細胞質では翻訳調節を行っていることが知られているため、Cushing病における局在を確認したところ、主に細胞質に存在することが明らかとなった。現在その機能についてさらなる検討を行っている。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 図書 (1件)
Front Endocrinol (Lausanne).
巻: 8 ページ: 375
10.3389/fendo.2017.00375.
Pituitary.
巻: 20 ページ: 509-514
10.1007/s11102-017-0810-1.
J Endocr Soc.
巻: 1 ページ: 127-143
10.1210/js.2016-1053.