研究課題
少子高齢化社会において、不妊をきたす病態の解明は急務である。卵巣機能不全へのアプローチにおいて、視床下部―下垂体―卵巣(H-P-O)生殖内分泌調節系の分子機序は未だ十分に解明されていない。我々は、卵巣に発現し卵胞発育を調節するBMP(Bone Morphogenetic Protein)分子に着目して研究を進め、BMPが卵胞内では細胞間コミュニケーターとして、全身ではH-P-O系のモデュレーターとして機能し、正常な卵胞発育・ステロイド合成を調節することを示した。本研究では、BMPの組織特異的多機能性を卵巣から全身へ拡大し、本研究期間の初年度は卵胞機能調節モデュレーターとして機能するBMPを新たな側面から研究した。卵胞局所でなく血中に存在するBMP作用の決定から卵胞ステロイド合成調節メカニズムを解析するとともに、前年度までの研究から明らかとなった新規のEstrogen誘導性卵母細胞因子にも着目して、BMPネットワークに寄与する生殖内分泌への作用を検討した。最終年度では、視床下部・下垂体ゴナドトロープを包括して研究を進め、HPO系・リズム形成に寄与する時計遺伝子群・リズム調節に寄与する因子としてメラトニン・インクレチン・オレキシン作動系について、卵巣局所因子との機能的なリンクについて研究を進めた。BMP分子を診断ツールとして臨床へ応用するとともに、視床下部-下垂体を含めた全身的BMPのBioavailabilityと内分泌活性・生理的意義を探究した。卵胞から全身へと拡大し、中枢から末梢まで網羅するBMP networkとして時計遺伝子やメラトニンなどのリズム形成因子との関連に着目し、H-P-0系におけるBMP作動系の機能解析を行い、内分泌モデュレーターとしてのBMPの臨床応用をさらに目指している。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 7件、 招待講演 2件)
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