研究課題/領域番号 |
15K09435
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
吉本 勝彦 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (90201863)
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研究分担者 |
岩田 武男 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 助教 (10350399)
水澤 典子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 助教 (80254746)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 腫瘍 / 下垂体 / miRNA / インプリンティング |
研究実績の概要 |
下垂体の腫瘍化機構においてエピゲノム異常の関与が想定される。本研究においては、下垂体腺腫各タイブにおいて、特徴的発現パターンを示す14q32インプリンティング領域に位置するマイクロRNA (miRNA)クラスター および長鎖非コードRNA (lncRNA)、蛋白をコードする遺伝子のインプリンティング発現調節機構およびその破綻を解析することにより下垂体腺腫の発生・進展への関与を解明する。 マイクロアレイの再解析結果から、14q32に位置するmiR-770からmiR-370のクラスター、miR-379からmiR-656のクラスターでは、ナルセル, FSH/LH, ACTH腺腫で低いシグナルを示すが、GH腺腫では2倍程度の発現増加を認めた。他のインプリンティング領域(19q13.4、11p15.5、7q32.2、20q13.3)では正常下垂体組織で発現シグナルが弱いこと、各タイプの腺腫においてもシグナル変化を認めないから、14q32領域に特異的は変化であることを確認した。 同部位に位置し蛋白をコードし父方アレルが発現するDLK-1およびRTL-1は、GH腺腫で発現が高く、ナルセル, FSH/LH, ACTH腺腫で低発現を示すこと、長鎖非コードRNAで母方アレルが発現するMEG3、MEG8はナルセル, FSH/LH, ACTH腺腫で低発現を示すことをrRT-PCRで確認した。 MEG3-DMRにおけるbisulphite sequencingにおいて、正常下垂体組織ではメチル化を示すクローンは半数であった。本結果は正常下垂体において片親由来のDMR部位がメチル化されている可能性を示唆する。一方、FSH/LH腺腫3例では100%ちかいクローンがメチル化を受け、高メチル化状況であることを認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非機能性腺腫やACTH腺腫におけるmiRNAの発現低下は、14q32に位置するインプリンティング領域内のmiRNAクラスターに特異的に認められること、及び14q32のインプリンティング状況を調節するMEG3-DMRにおいて、解析した領域が高メチル化状態を示すことを確認したことより、順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
メチル化状況の検討には、解析部位および腺腫の解析数を増やすためには、bisulphite sequencingでは多量の労力を要することがわかった。そこで、定量化も優れているpyrosequencingを用いて解析することとした。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度実施予定のゲノムコピー数の解析の試薬が高額であることが見込まれるため
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度実施予定のゲノムコピー数の解析の試薬に充当する予定
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