研究課題
28年度にZAP-70wt/wt、ZAP-70wt/skg、ZAP-70wt/-、ZAP-70skg/skg、ZAP-70skg/-、ZAP-70-/-の6種類のマウスを作出した。既報に従って、ヒト或いはマウスTSHR A-サブユニット発現アデノウイルスを用いて3週間隔で2回免疫し、2回免疫後2週で採血して、抗TSHR抗体をflow cytometryで、甲状腺ホルモンをELISAで測定した。同時に甲状腺組織も摘出して組織学的に検討した。胸腺を摘出して、RNAを抽出し、RT-PCRにてZAP-70及びTSHRの発現量を測定した。脾細胞を分離して、TSHR蛋白と共培養し、TSHR特異的サイトカイン分泌を比較検討した。ヒトTSHRで免疫した場合は、アロ抗原であるため、従来の報告通り野生型マウスで反応がよくみられたが、ZAP-70の機能の低下と並行にT細胞の機能も落ちるため、徐々に反応の低下がみられ、ZAP-70skg/skg、ZAP-70skg/-、ZAP-70-/-マウスではもはや反応が見られなくなった。マウスTSHRで免疫した場合は、真の自己抗原であるため、野生型マウスでは反応が見られなかったが、ZAP-70の機能低下に合わせて、negative selectionがうまくいかず、自己反応性T細胞が出現し、ZAP-70skg/skg、ZAP-70skg/マウスで徐々に反応が見られるようになった。しかしZAP-70の異常のため、T細胞が十分に活性化されず、抗体の反応のみで、甲状腺ホルモンの上昇、すなわちバセドウ病の発症には至らなかった。ZAP-70-/-マウスでは、おそらくZAP-70の機能低下の程度が著名なため、全く反応がなかった。以上より、3年間の研究で、TSHRに対する免疫寛容における中枢性寛容の関与が確認された。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
AACE Clin Case Rep.
巻: 1 ページ: e85
J Radiat Res
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
Radiat Environ Phys
巻: 56 (4) ページ: 405-412
10.1007/s00411-017-0711-8
最新医学社
巻: 72 (10) ページ: 38-43
医学のあゆみ
巻: 260(9) ページ: 711-715