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2016 年度 実施状況報告書

新規グラニン由来ペプチドNERP-4の摂食エネルギー・糖代謝機能の検討

研究課題

研究課題/領域番号 15K09439
研究機関宮崎大学

研究代表者

山口 秀樹  宮崎大学, 医学部, 講師 (10305097)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード生理活性ペプチド / 糖尿病 / インスリン / 膵β細胞
研究実績の概要

グラニン由来新規生理活性ペプチドであるNeuroEndocrine Regulatory Peptide (NERP)-4の生理機能を明らかにするため、MIN-6培養細胞株を用いた細胞内Ca動態、動物へNERP-4投与後のインスリン分泌動態、ヒト膵臓での組織内NERP-4分子型を検討した。
MIN6細胞株を37℃で灌流し、灌流液中のブドウ糖 (2.8 mM, 22 mM)、NERP-4 (1 μM)、Tolbutamide (2 mM)を添加し、細胞内カルシウム流入をIMACSで解析した。その結果、高グルコース条件下でのMIN6細胞株へのNERP-4添加は、細胞内Ca濃度を上昇させた。低グルコース条件下では、NERP-4添加で細胞内Caに変動はなかった。8週齢のWistar雄ラットを16時間絶食後、ペントバルビタールで麻酔し、腹腔内にブドウ糖 (1 g/kg BW)とNERP-4 (200 nmol/kg BW)を投与し、尾静脈から経時的に採血した。その結果、NERP-4のラット腹腔内投与は、グルコース誘発性インスリン分泌を促進した。ヒト摘出膵組織のNERP-4免疫活性を検討した結果、ヒト膵ラ氏島でNERP-4が染色され、逆相液体クロマトグラフィー法 (RP-HPLC) / RIA法を用いたNERP-4内在性分子型の検討で、NERP-4は成熟型で膵に存在することを明らかとなった。
以上より、新規グラニン由来ペプチドであるNERP-4は、ヒト膵臓に活性型として存在し、細胞内Caの増加反応を介して膵β細胞からインスリンを分泌促進する新たな生理活性ペプチドであることを明らかにした。今後、NERP-4の糖尿病モデル動物への長期投与を検討し、摂食エネルギー・糖代謝調節機構におけるNERP-4の位置づけを明らかにする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

申請者を含む研究グループは多数の生理活性ペプチドの研究で、(1) ラットおよびマウス個体での行動薬理学的解析技術、(2) 摂食関連ペプチドおよび神経伝達物質の定量技術、(3) ペプチドやその受容体の形態学的解析技術、(4) 細胞培養技術と情報伝達機構の解析技術を確立しており、その実績を基に順調に研究を遂行している。実験支援生物資源分野(動物実験施設)、RI部門、組織培養部門など研究実施のために使用する研究施設・設備など現在の研究環境に問題はない。

今後の研究の推進方策

平成29年度は、H27年度およびH28年度で得られた研究実績をもとに、以下の実験計画を行う。
1)NERP-2,-4(NERPs)受容体の探索を実施する。NERP受容体を探索するためNERPs投与で内在性ペプチド分泌が制御される培養細胞株を用いる。オートラジオグラフィーを基にcDNAライブラリーを作製し、発現クローニング法を用いてNERPs受容体のクローニングを行う。2) NERPs以外の新規グラニン由来ペプチドの定量系の開発、生体内分布・細胞局在を実施する。同定したペプチドをFmoc法を用いたペプチド合成機で化学合成し、HPLCや質量分析計で検証する。C端のペプチド片をヘモシアニンと結合させ、家兎に免疫して特異抗体を作製する。放射性ヨードでラベルしたペプチドを用いて、高感度RIA系を開発する。この特異抗体を用いて、新規ペプチドの組織含量、血中濃度を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

RIAなどの試薬購入が少なかったため、次年度に予算を回すことが可能となった。

次年度使用額の使用計画

動物実験、細胞培養や遺伝子解析に必要なPCR機器などの解析機器は現有のものを用いることから、今回も設備備品費の申請はなしとした。ペプチド合成や抗体作成、免疫組織化学、遺伝子発現を検討するため、試薬、実験器具、培養器具や放射性同位元素代として2990千円を計上した。成果発表のための国内旅費450千円と外国旅費450千円をそれぞれ計上した。研究資料、動物管理に必要な研究支援者雇用費や研究成果投稿料として450千円を計上した。

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公開日: 2018-01-16  

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